ホラー系TRPG ドラマパート1
今回の話はドラマパートとプレイパートに分ける予定です。
2022/02/22 誤字報告受け付けました。
いつもありがとうございます。
通学路を少し外れた路地裏。
そこで制服を着崩した明らかに素行の悪そうな生徒に絡まれている小柄な男子高校生。
「だ〜か〜ら〜ちゃんと返すから少し金を貸してくれって言ってるだろう」
「そうそう、俺たち全員財布忘れて昼飯買えねえんだよ」
「ほんのすこーし貸してくれるだけでいいんだよ。
3人分含めて一万程な」
「あわわ……そんなお金を僕の独断だけで貸せませんよ。
お姉ちゃんとも相談しなくっちゃ」
3人の不良高校生に絡まれている男子高校生の名は猪飼ゆうま。
彼は小柄で気が弱く、不良達からすれば絶好のカモに見えるのだろう。
こうして絡まれるのは日常茶飯事であった。
そんな彼が元気に学校に通えている理由。
それはいつも助けに来てくれる頼もしい存在がいるからだ。
今日も今日とて不良を止める声が聞こえてくる。
「ちょっと待つなサーイ!」
「え!?」
その言葉に一番驚いたのは不良達ではなく、ゆうま自身であった。
振り返った先には自分と良く似ているのに気の強そうな顔をした女性……ではなく、とても大きな身体をした金髪の女性が立っていたからだ。
「子供イジメる、よくありまセーン。
貴方たち恥ずかしくないですか?」
「なんだぁ、見慣れねえアマだな」
「でも、見た目はかなり良いじゃねぇか。
背が大きすぎるのがアレだが、デカいのは身長だけじゃ無さそうだしな」
「姉ちゃんが遊んでくれるならコイツは解放してやってもいいぜ」
一度は金髪の女性の方を向いた3人がそう笑ってゆうまのほうを見る。
『は???』
そこには既にゆうまの姿は無くなっていた。
彼はいつも助けられているのに為にこのパターンで最悪なのは自分が人質に取られることだと分かっていた。
故に助けが入ったどさくさに紛れてど何処かに隠れるということを得意としていたのだ。
「中々賢いぼーいですね。
後は貴方達を懲らしめたら終わりデース」
こうしてファイティングポーズを取った女性と不良による戦いが始まった。
最初に動いたのは女性であった。
不良の1人に素早く組みつくとそのまま地面に叩きつける。
「ぐへっ!?」
直接コンクリートの床に叩きつけられた不良Aはそのまま気絶して動かなくなった。
「このアマ、舐めやがって!」
次いで不良Bが女性に殴りかかる。
彼女はその拳を軽やかに回避する。
「次はこっちだ!」
不良Cも拳で殴りかかろうとし、女性はそれを受け流そうと構える。
しかし、突然2人の間に誰かが割り込み、その拳に蹴りを入れて不良の攻撃を防いだ。
「女性相手に男が寄ってたかって何やってるのよ。
要らなさそうだけど助太刀させてもらうわ」
「お〜サンキュー……って、貴方さっき隠れたのでは?
それに髪がロングになってるネ」
「え?ああ、ひょっとして弟がこいつらに絡まれてるのを助けてくれたの?
私の名前は猪飼まゆ。
貴方が助けてくれたのは弟のゆうまよ」
「ジェミニですか!?
私の名前は
オリー・ビーでぇす。
気軽にオリーと呼んでくだサーイ」
「おっけ〜オリー。
それじゃ、サッサとコイツら片付けるわよ」
こうしてオリーの側にまゆが加わったことで仕切り直しとなる。
先ず最初に動いたのはまゆであった。
彼女が修めている武術を使った蹴りを放つ。
その一撃は不良Bのアゴを掠めて彼の意識を刈り取るのに十分であった。
続いてオリーが不良C に向かって動く。
彼女はCに組みつくとそのまま足払いをかけて転倒させて抑え込んでいく。
そのまま首を取ってぐいぐいと締め付けて意識を奪い取る。
「チョロい相手だったわね。
ゆうま、もう出てきていいわよ」
「うん、お姉ちゃん……って、この人危ないよ!」
出てきたゆうまが倒れた3人の不良、そのAを指差していう。
実は不良Aはコンクリートに叩きつけられたせいで呼吸困難に陥っていたのだ。
慌てたゆうまはバッグから救急箱を取り出すとAに対して簡易的治療を行う。
その甲斐あってか不良Aの呼吸は段々と落ち着きを取り戻した。