都内が白く染まった日 1
「うわ……マオ!
外見てみなよ」
「そんなに騒いでどうしたというのじゃ?」
ある朝のこと、カーテンを開いて窓の外を見たユウが興奮してマオを呼ぶ。
まだ寝起きだったマオは目を擦りながらユウの元へ行くと……
「おお!これは凄い光景じゃのう」
「そうでしょ」
そこには夜の間に積もったであろう雪が周りの木や車の上に積もっていた。
都内では珍しく雪が降り続けた上に朝になっても気温が氷点下を下回った為に溶けずに残り続けていたのだった。
「折角だからご飯を食べたら外に出てみようか」
「そうじゃのう。
しかし、既存の靴では危なくないかの?」
「あんまり可愛くは無いけど僕の袋から雪国用の靴出しておこうか?」
「うむ……それも悪くは無いのじゃがな。
何かしら方法は無いかの?」
そう言ってマオがスマホで検索し始めると直ぐに部屋の棚をゴソゴソと漁り始めた。
「何か言い方があったの?」
「警視庁のホームページに靴底に絆創膏を貼ると良いと書いておったぞ」
「そんな簡単な方法で大丈夫なの?
それに剥がれたりしないのかな?」
「水気や汚れを拭き取って貼れば1日くらいは剥がれないようじゃな。
面白そうじゃしやってみぬか?」
「確かにこんな簡単な事でいいなら面白いかも。
やってみようか!」
2人はそう言って自分達の靴の底を洗ってから絆創膏を貼った。
「それじゃ外に行ってみよう!」
「安全は確保していこうのう」
2人が外に出ると澄んだ空気と寒さを感じる。
外のアスファルトは大部分が凍り付いており、その上を歩くのは勇気が必要だと2人に思わせた。
「これ、確実に凍りついてるよね」
「そうじゃな……さぁ、ユウよ!
勇者らしく勇気を持ってその先へ踏み出すのじゃ」
「はぁ〜仕方ないなぁ。
よっと……お!おお!?」
恐る恐る一歩を踏み出したユウであったが、凍った地面の上に足を置いた感触に驚きの声を上げた。
「どうじゃ?」
「これ凄いね。
走ったりしたら危ないと思うけど歩く分には全然問題ないよ」
「ユウがそう言うならやってみようかのう……むむむ。
確かにこれは安全じゃな」
マオも恐る恐る一歩を踏み出してみたが、その足は特に滑る事はなくしっかりと路面を踏みしめる事が出来ていた。
「これなら安心して街の中を探検できるね!
早速色々と見て回ろう」
「そうじゃな。
いま見える景色でも全く違うものになっておるから楽しみじゃな」