文化盗用とハニーの着物
とある日の事、ユウとマオの住んでいる家に予定の無い来訪者がやってきた。
その人物は2人がよく見知っている人物で……
「オ〜ノ〜!!」
出迎えると泣きながら2人の部屋に転がり込んできたのはゴールド・ハニーであった。
「急に泣きながら訪ねてくるとかどうしたの?」
「ほれ、茶を出してやるから飲んで落ち着かぬか」
2人がかりで宥めた事ですぐに大人しくなったハニーはお茶を啜りながらポツポツと事情を話し始めた。
その内容とは……
『文化盗用???』
「イエース。
私、ハニーではなくジェシーとしてのSNSを投稿したときの事でーす。
ニホン来られて私とてもとてもうれしい。
そこで大好きなニホン文化の着物を着て写真撮りました。
それを載せたら沢山いいね貰いました。
バーット……」
「一部に文化盗用と叫ぶ人達が現れたと」
「文化盗用のう……あれは少数派が大事にしている文化を多数派が意味を捻じ曲げて使用していた場合に起こる事であろう?
ハニーは着物を着て写真を載せただけなんじゃよな?」
「イエース!
ニホンの着物ベリービューティフル。
沢山の人に見てもらいたい思いました。
それで写真載せたですが」
「騒ぎ出す連中がいたと。
そいつらこそ本来の意味を捻じ曲げて使ってない?
そもそも日本の人たちって外人さんが着物着てたら喜んでるよね?
馬鹿にされたなんて思ってないと思うけど」
ユウはスマホから着物を着た外国人に対する反応を探ってみるが、誰一人として文句を言っている者はいない。
寧ろ綺麗だ、似合うだ、可愛いだと褒め称えているコメントばかりが見られる。
だが、調べを進めているうちに一部の外国人達が其れ等を文化盗用だと非難している事を取り上げた記事を見かけた。
その記事を覗き込んで読んでいたマオが口を開く。
「なんというか……過剰な上におかしな話ではないかのう?
日本人は誰1人文句を言っておらぬ上に自分たちの文化が他国でも通用すると喜んでおるというのに、他国のものが盗用だと声を上げるのは筋違いというものであろう」
「気にしすぎ……でーすか?」
「そうだよ!
実際に関わっている人達はとても喜んでるんだから、全く関係のない外部の意見に心乱されちゃダメだって。
大丈夫。
写真見てる限りとっても似合ってるよ」
「うむ、何なら今から3人で着付けして神社にお詣りにでも行ってやろうではないか」
「さんせーい!
そうと決まれば善は急げってね。
行こう、ハニー!」
「あ、ちょ、ちょっと待ってくーださーい!!」
こうして2人に連れられて出かけたハニーは再び着物を着たのだったが、人生2回目の着物は一度目よりもハッピーで楽しい気分にさせてくれたのであった。
最近話題になっていますが日本人の大半は外人の着る着物に好意的なのではないでしょうか?
私としても日本の文化を好きになってくれて積極的に取り入れてくれてありがとうと思っていますよ。




