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樹木の山と妖怪の里 12

帰って暁月やるぞ〜ってなってる時に限って残業が入るものです……

辺り一面、触手のようにウネウネと動く根っこで覆い尽くされた中でマオがユウの目を真っ直ぐに見つめる。


「ユウよ……ここは妾に任せて大樹の元へ行くのじゃ」


「任せちゃっていいの?」


「ふふん、こういう美味しい役は勇者がやるものと決まっておるからの。

その代わりにビシッと決めてくるのじゃぞ!」


「オッケー!

任せといてよ」


そんな2人の様子を見ていた花鳥風月の内の3人がカザに視線を集める。


「あちらのチームワーク素晴らしいですわね。

私達の方も負けてられないと思いませんか?」


「こちら側から突入させるのであれば既に決定済みでありますな」


「外側は任せて……中はお願い」


「まーた僕……って言いたいところだけど今回はユウさんもいるしね。

足を引っ張らないように頑張ってくるよ」


そう言ってカザは3人と拳をぶつけ合った後でバットを構えてユウと共に先に進もうとする。


「ああ、そうそう」


そんなカザをハナが言い忘れてたと言わんばかりに呼び止めた。


「なに?」


「例のお札を渡しておくから困ったら使ってね」


「……あんまり使いたくないけど、最悪の場合は使わせてもらう」


何故か心底嫌そうな顔でカザはその札を受け取るのであった。


♢ ♢ ♢


紅白の巫女服を着て手に大幣を持ったカコが樹海と化した広間を進む。


時おり根っこが襲いかかってくるが、それを大幣の祓いとお札の投擲をもって撃退していく。


(へへ、サマになってきてるじゃねぇか)


「こんな荒事に慣れたくなかったけどね……っ!?

しつこい!

結界障壁!!」


地面から突然伸びてきた根っこがカコの足を掴んだ……が、即座に反応して自身の霊力から結界を体の表面に纏わせた。


(そうそう……言い忘れてたんだがな)


「何よ!?

くだらない事だったらぶっ飛ばすわよ」


(今のおいらは樹木子や本体と切り離されているから前みたいに霊力を貸してやれないからな。

大幣やお札くらいなら問題ねえけど結界障壁なんて連発しようもんならあっという間にガス欠になるから気をつけるんだぜ)


「それを最初に言えーーー!!」


カコの魂の叫びは虚しくも蠢く樹海の中に消え去っていくのであった


♢ ♢ ♢


「うん?今何か言った?」


何かの叫び声のようなものが聞こえた気がした。


「何にも言ってないけど」


「じゃあ、気のせいか……それじゃ〜いくよ!!」


カザはそう言うと自身の霊力を愛用のバットに吸わせる。


限界まで貯めたカザは大樹の方向に向かってホームランスイングを行った。


「必殺!風神ホームラン!!」


カザのバットから暴風が放たれ、大樹に向かって真っ直ぐに突き進んでいく。


目の前を塞ぐ枝も根っこも何もかもを吹き飛ばして真っ直ぐな道が出来上がった。


「おお〜すごいすごい!

それじゃ、先導するからついてきて」


そう言ってその道をユウが駆け抜けていく。


道中ではあらゆる方向から枝が、根っこが、更には鋭い刃を携えた葉までもが襲いかかってくる。


それら全てを先程の木剣とは違う蒼白く輝く勇者の剣を持って斬り払っていく。


「うわ……すごすぎ。

こりゃ勝てないや」


「経験だよ経験。

カザも素質はあるんだから努力すればここまでやれるさ」


「本当!?

じゃあ、この仕事終わってからも偶に特訓してくれる?」


「僕も身体動かしたくなる時あるからいいよ。

でも……先ずは目の前の事を片付けないとね」


そう言ってユウが見上げた先には樹木子の本体……その中央にまるで核のように木の中に取り込まれた男の身体があった。

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