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樹木の山と妖怪の里 7

日常パートのネタ出しのためにも、もう少しだけ長編シリーズにお付き合いください。

「そうだね、もうそろそろ本題の話をしようか。

この地の中心にある大樹。

あれは樹木子と呼ばれる妖怪だ」


「樹木子?」


シロの言葉に2人は首を傾げる。


「樹木子は見た目通りの木の妖怪です。

見た目は完全に木であり、周りに誰もいない状態ではその性質も変わりません。

しかし、人間が近づくと眠っていた妖怪の部分が目醒めます。

根っこや枝を自在に操って近付いた人間を捕獲して生命力を啜ると言われているのです」


「非常に危険な妖怪なので大昔にほぼ退治されていた筈だったのだが生き残りがまたいたんだよ。

それは4桁を超える年月を生き抜いた結果、通常では有り得ないほどに大きく太くなっていた。

加えて長寿の大樹の特性である神性まで発揮するようになった。

私たちはその神性を自分のものにしようと思ってこの地にやってきた……そのために地主様と争う形になってしまったんだよ」


「ふむ……ちょっと良いか?」


話がひと段落したところでマオが手を挙げた。


「なんだい?」


「妾達が見た限り、あの大樹には悪意といったものを感じ取れなかったのじゃ。

アレは生きておるのか?」


「鋭い質問ですね。

ここで先程した鶴吉さんの話に戻りましょう。

彼は300年ほど前に樹木子を封じるための生贄にされています」


「生贄と言ってもただ捧げただけじゃ餌をあげるだけだったからね。

彼の身体には呪いや外法がたっぷりと仕込まれていたらしい。

その結果、成仏すら許されなかった鶴吉君は樹木子と交わりながら深い眠りについたのさ」


「そしてカコさんがお祖父様からこの土地を引き継いだのと時を同じくして彼は目覚めました。

その身体は完全に樹木子と同化しており、魂だけの存在として」


まるでショーを演じるように交互に説明を行うクロとシロ。


喋っている側にはスポットライトが当たっているかのような錯覚すら感じた。


「ふむ……つまり樹木子はあそこにおるが、皆が恐れた妖怪の樹木子はいなくなったということじゃな」


「それでさっきから話に出ている鶴吉って人は何処にいるの?

魂だけって事は幽霊なんだけどいるってことだよね?」


「ああ、ずっといるよ。

君たちにも見えていないだけでここにいる」


「安全な檻の中で今も眠っておられます。

大事な大事なもう1人の地主様ですからね」


「え?」


「それはつまり……」


クロの言葉に反応した2人がカコの方を向く。


「はぁ〜仕方ないか。

ツルはいま私の中で眠ってる。

私は幽霊憑きってやつよ」

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