樹木の山と妖怪の里 4
謎の襲撃者を退けた二人であったが、未だ抜け出せない結界の中に囚われていた。
「てっきりこの仕掛けを施したのはあの4人組だと思ったけど」
「どうやら違うようじゃな……もう強引にこじ開けてしまうかのう」
そう言ってマオが魔力を集めた時であった。
「ままま、待ってくださいにゃ〜!!」
突然空から白い何かが落ちてきた。
その何かは地面に激突したと思った瞬間にクルッと前に転がり上手く受け身を取る。
「はい!!」
そして、立ち上がると両手をビシッと上に突き出してポーズを取りドヤ顔でユウ達の方を向いた。
白い髪を短く整え、半袖の白いシャツに黒いチョッキ。
チェックのズボンを着たマジシャンの助手のような格好をした少女。
1番の特徴はピョコピョコと動く猫耳と尻尾だろう。
「はい!!」
観察に徹して何も反応を示さない2人にもう一度手を空に突き出したながらもう一度大声と共にアピールを始めた。
「え?ああ、お見事」
意図に気付いた2人はパチパチとまばらな拍手を行う。
それに気を良くしてピンと背筋を伸ばしてドヤ顔をしていたのだが……
「何をやっているんですか」
「ゲフゥウウウウ!!」
今度は黒い何かが横から飛んできてドヤ顔をしていた女性が吹っ飛んでいった。
黒い何かは先程の白い女性とは別に黒髪で猫耳と尻尾が生えている。
その女性はユウとマオに向き合うとペコリと頭を下げた。
「大変見苦しいものをお見せして申し訳ありません。
私の名前はクロ。
そして、先程の馬鹿はシロ。
見ての通り猫又と呼ばれる妖怪です」
「あいたたたた……いきなり蹴っ飛ばさないでくれよ。
紹介された通り、私の名前はシロ。
このクロと一緒に猫又不動産という不動屋をやっている者だよ……妖怪専門のだがね。
君たちもここの噂を聞いた入居希望者かい?」
唐突に現れた2人の妖怪の登場にユウとマオは顔を見合わせた。
「僕の名前はユウでこっちはマオ。
この土地の様子がおかしいという事で調査に来たんだ」
「結界に囚われるは変な4人組に襲われるわで散々な目にあったがのう。
事情を知っているなら話を聞かせてもらえないじゃろうか?」
「なるほど……私達の話に応じて冷静に答えてくれるのであれば案内致しましょう」
「この山の頂にある我ら怪異の最後の砦。
妖怪マンションにね」
そうしてシロがパチンと指を鳴らした瞬間、周囲にある空気が変わった気がした。




