八景島へ遊びに行こう 3
2023/06/10 誤字修正受け付けました。
いつもありがとうございます。
流氷の天使クリオネを堪能した2人は奥に進んでいく。
するとその先には白い体毛を持つ大きな熊が姿を現した。
「これはホッキョクグマじゃな。
クマの中でも上位に位置する大きさの身体を持っているのじゃよ」
「そうなんだ……確かに動物園で見たクマよりも大きいかも。
ホッキョクグマが大きいのって何か理由があるの?」
「うむ、妾たちのような恒温動物は寒冷地に行くほどに身体が大きく体重が重くなる傾向がある。
この説を提唱したドイツの生物学者から名前を取ってベルクマンの法則と呼ばれているのじゃ」
「なんで寒いところの方が身体が大きくなるんだろ?
餌が少なそうだから小さくなりそうな気もするけど」
「それは体温を保つ為と言われておるのう。
コップ一杯のお湯と湯船たっぷりに貯めたお湯では後者の方が冷めにくかろう?
それと同じじゃな」
「なるほど!
確かに総合の熱量は大きい方が上だもんね」
「しかし、ユウの指摘も中々に鋭くての。
爬虫類のような変温動物は体温を保つ必要がないので餌の少ない寒冷地では小さく、餌な豊富な温暖地では大きくなる傾向にある。
温暖な気候のジャングルに大蛇がおる要因なのじゃが、こちらも上記の学者の名前をとって逆ベルクマンの法則と言われておるのじゃ」
「へぇ〜」
そんな話をしながら隣に歩いていくと今度はセイウチに出くわす。
「うわっ!?
とんでもなく大きい!!」
「セイウチじゃな。
北極圏内でも最強と言われておる生物じゃ。
その厚い脂肪はホッキョクグマの爪を通さず、逆に巨大な牙で攻撃する事で容易に撃退してしまう正に化け物じゃよ。
体重は1トンを超えており、陸上であろうと本気で走れば時速50キロ出すと言われておるぞ」
「うへぇ……普通の人間が襲われたらひとたまりもないね」
「トラックに撥ねられるのと対して変わらぬからのう」
「展示されているのを見る分にはのんびりしてて可愛いもんだけど、やっぱり野生の動物ってのは危険なんだね」
「そうじゃな。
さての次なのじゃが……むぅ?
人が多いのう」
「あ、ペンギンだよ!
やっぱり可愛いから人気があるんだね」
「見た目の愛くるしさにヨチヨチ歩く姿を合わせれば最強の可愛さと言って良いじゃろうな……横の展示は天敵だらけじゃが」
「あ、やっぱり食べられちゃうんだ」
「ホッキョクグマやセイウチ以外にも水辺にいたらシャチに襲い掛かられたなど被害報告には事欠かんのう。
水の中では機敏に動くのじゃが陸上ではどうにもならぬな」
「やっぱり足が短いのが原因なのかな?」
「そうじゃろうな。
鳥類でもダチョウやヒクイドリと言った足が発達した鳥ならば猛スピードで駆けることが可能じゃからの」
「可哀想ではあるけど、爆速で走るペンギンなんて可愛さ半減だから展示されてる分には今のままでいいかな」
「そうじゃな。
ペンギンの魅力は何と言っても可愛さじゃからのう」
2人は人混みに揉まれながらもしっかりとペンギンを楽しんでいった。
だが、2人はまだ知らなかった……このテーマパークでは更にペンギンを愛でる事が出来る恐ろしいスポットがあることを。




