八景島へ遊びに行こう 1
本格的な冬の訪れを迎えつつある時、ユウとマオの2人は本格的に寒くなる前に何処かに出掛けようという事になった。
2人は話し合いの末にまだ行っていないテーマパークを求めて東京を飛び出る事にした。
向かうは横浜を越えた先、金沢八景の先にある場所。
そう、八景島である。
山手線で品川まで行ってから京急線に乗り換えて金沢八景まで。
そこからシーサイドラインに乗り換えて八景島を目指す。
シーサイドラインの金沢駅ではこの地で産まれた有名アーティストのイントロが2人を出迎えてくれた。
到着した電車に乗り込んで窓の外を見ると、その下には海が見えていた。
電車は海の上に建てられたレーンを走行しているので海の上を走っているのだ。
「東京のゆりかもめみたいだね」
「確かにあれも海の上を走行していたのう。
ゆりかもめは運転手のいない電車であったがシーサイドラインはどうなんじゃろうか?」
「ちょっと調べてみようか……ああ、こっちも運転手のいない車両なんだって」
「海の上を走らせるにはそうしなければいけない理由でもあるのかの?」
「そんな事は無いと思うけど。
偶々じゃない?」
「まぁ、そうかもしれんのう」
2人が外の景色を見ながら談笑していると列車はあっという間に八景島に辿り着いた。
八景島駅を出た2人の目の前にはこれから向かうべき場所の案内板が現れる。
「ここから左側だって」
「この駅で降りるものの殆どがこの場所が目的じゃろうからな」
「ここから見えないから結構歩くのかな?」
「まぁ、良い運動じゃと思おうかのう」
2人はそう言って看板の示す道を歩いていく。
周りには同じ場所が目的なのか、若い男女や幼い子供を連れた家族がチラホラと見えた。
「あ、すごい!
大きな橋だよ」
「本当じゃ……むむ!
ユウよ、風が強いから帽子は飛ばされないようにの」
「分かってる分かってる……というか海沿いで常に強風っぽいから脱いどこうかな」
ユウはそう言うと被っていたキャップを外して腰に取り付けた。
「マオは……スカートだけど今日は長いから大丈夫だね」
流石に冬の訪れを感じるこの季節にミニスカートで出歩く気にはなれず、マオはロングスカートを着用していた。
「たとえ捲れたとしても今は子供の姿じゃから問題無いじゃろう」
「そうかなぁ?
そういうのが好きな変態は一定数いそうだけど」
「いないとは言わぬが気にしすぎては何も出来ぬよ。
それに今日は問題無いから良いであろう」
「捲れても平気って言い出したのはマオの方なんだけどね」
「細かい話は良いでは無いか。
それよりも着いたようじゃぞ」
橋を渡りきった2人の目の前で大きなメリーゴーランドが出迎える。
2人が遊びに来た場所はアトラクションのある遊園地と水族館が融合した八景島1番の観光スポットであった。




