現代世界へ〜過去編2〜
2022/09/19 誤字報告受け付けました。
いつもありがとうございます。
ドサっと地面に落ちる感覚がした。
その衝撃の中でも繋いだ手は離さないまま、2人は起き上がり辺りを確認する。
「なに・・・ここ!?」
「夜なのに明るい・・・それに周りにある無数にある建物。
どうやら元の世界では無いらしいのう」
そういうマオの言葉がユウの下から聞こえてきた。
ユウは女性としては平均的な身長だったはずだが魔王は長身の美女だったはずだ。
冷静に考えてみれば繋いだ手も下の方にある。
恐る恐る魔王の方を見てユウは驚いた。
「マ・・・マオが小さくなってる!?」
「な・・・何じゃと!?
た、確かにユウが大きい!!」
と異常事態に2人がワイワイと騒いでいると声がかけられる。
「あ、貴方達ちょっといいかしら?」
そちらの方をふりむくと見たことのない生地で出来た服を着た長身の男性がいた。
「え、はい。なんですか?」
「お主この世界の人間かえ?」
2人の反応を見て男性は少し考え込むがすぐに考えをまとめたようだ。
「何もないところから落ちてきたように見えたし、格好も異常。
おまけにこの世界の人間と来たらだいたい正体が分かった気はするけど・・・貴方達はこの世界とは別の世界から来たのかしら?」
「えっと、そうなんだけどお兄さん?だよね?
なんで女性みたいな喋り方なの?」
「身体は男じゃが心は女というやつかの?
妾の部下にそういうのがいたのう」
「あらやだ〜あたしは心身ともに男よぉ。
でも、この業界はこっちの方がウケがいいからこの話し方してたらいつの間にかこの喋り方が定着しちゃったのよね」
男性は身体をくねらせながら答える。
やはり心が女性のようにしか見えないが、確かに普通の男性に話しかけられるよりは親近感を得る2人であった。
「まぁ、こんな事務所前の空き地で話すのも何だから良かったらあたしの事務所までいらっしゃいな」
男性はそう言って後ろにある大きな建物を指差した。
「うわ〜大きな建物!」
「こんな立派な建物がお主の家なのかえ?」
「あら、そうじゃないわよ。
この中の部屋の一つを借りているんだけど・・・その辺りの常識も教えてあげるわ」
男性の案内によってビルの中に入っていく2人。
この男性・・・くじよじの社長、里中との出会いが彼女達のこの後の人生に大きく関わっていくのであった。