二人の企画提案会
10/3 誤字報告受け付けました。
いつもありがとうございます。
「見てよ、マオ!
2人で配信するのに向いている良いゲーム見つけちゃった」
くじよじ鯖をデート配信した翌日のこと、ユウは他の配信者の動画を見ながら配信に向いているゲームのリサーチをしていた。
というのも昨日行った久しぶりのマオとの雑談配信が楽しかったので、2人で協力して遊べるゲームがないかという思いが生まれたからだった。
そうしてVに限らない様々な配信者のゲーム配信を漁っていた結果、始めやすく配信がしやすく、かつ今までの恐竜島やブロッククラフトゲームよりものんびりとプレイできるゲームを発見したのであった。
「ふむ……これは以前配信した墓場経営ゲームみたいじゃのう」
「こっちの方が遥かに健全だと思うけどね。
お爺さんの牧場を受け継いだ主人公が荒れ果てた牧場を整理しながら村でスローライフを行うゲームなんだよ」
「ふむ……元々そういう設定のゲームが無かったかの?」
「このゲームの制作者さんはそのゲームが好きすぎて自分で同じようなゲームを作ったそうだよ」
「凄い情熱を持ったものがおるものじゃのう。
どれどれ、ちょっと妾にも見せてみよ」
マオはそう言うとモニターを見ていたユウの真横に顔を押し込む。
「近くない?」
「嫌なら少し下がっても良いぞ」
「嫌では無いかな。
一応様式美としてツッコんでおいただけだから」
「では、このままじゃな。
ふむふむ……農作物を育てて酪農を行うと。
ここまでは大元のゲームと同じじゃが、素材を集めてクラフトが出来るし、クラフトしたものを自在に牧場内に配置できるのじゃな」
「そうそう。
それに農業や釣りで熟練度レベルが上がるシステムがあるし、モンスターの蔓延る鉱山で戦いながら鉱石集めも出来るみたい」
「確かに面白そうじゃのう。
協力プレイでは其々に牧場を経営して素材を交換するのかの?」
「いや、同じ牧場みたいだね。
この人は一人で牧場を経営してるけど僕たちがやるなら二人で役割分担を行う形になると思うよ。
昔話で言うならお爺さんは山に芝刈りに。
お婆さんは川へ洗濯にってね」
「役割分担をすれば簡単に牧場を発展させれそうじゃな。
このゲームは今後のレギュラーに決定して良いのでは無いか?」
「じゃあ、決定だね。
実は後一本候補があるんだけど……」
ユウはそう言いながらパソコンを操作してモニターに映る動画を切り替えていく。
その画面にはキラキラとしたエフェクトが出そうなイケメン達が映っていた。
「これはこの間見に行った映画のゲームかの?」
「そうそう、自分はオリジナルのヒロインになって各キャラクターと親密になっていける乙女ゲームだね」
「なるほどのう。
しかし、この手のゲームは本編の世界観を崩さないように少し仲良くなって終わりとかでは無いのかの?
それではいまいち盛り上がりに欠けるのではなかろうか」
「それがこのゲーム、自分もしくは相手がきっちり告白してカップルになれるみたいなんだよね。
しかも、エンディング後は付き合って数ヶ月経ったアフターエピソード付きなんだよ」
「むむ、それは確かに面白そうじゃのう……と、これを見る限り各学校のキャラと仲良くなれるみたいじゃが何人いるのじゃ?」
「一応山編、海編で半分に分けられてるけど片方で大体20人の合計40人超えだって」
「乙女ゲームでは多くても7〜8人というイメージじゃからとんでも無いのう。
これを二人でワイワイ実況しながらやると?」
「誰かゲスト交えても良いと思うけどね。
候補に加えて良い?」
「うむ、良いぞ。
実に面白そうじゃ」
「ありがと〜」
ユウはそう言うと通販サイトへ飛んで二つのゲームを買い物カゴに入れていく。
「うわ!?
恋愛ゲームの方かなりプレミア付いちゃってるじゃん」
「まぁ、仕方ないのう。
面白い配信をするための投資じゃからリスナーさんから頂いたお金を使わせて貰うとするかの」
「そうだね。
いつもありがとうございます!」
ユウはそう言いながら決済のボタンを押してゲームの購入を済ませた。
「これで暫く配信のネタには困らないかな?」
「とは言え、いつネタ切れを起こすか分からぬから常に候補のストックは持っておくべきじゃのう」
マオはそう言ってユウから顔を離したが、すぐに椅子を持ってきてユウの横に座る。
「妾も一緒に候補を探してやるからの。
動画をもう少し見ようではないか」
「一緒に見たいならそう言えば良いのに。
素直じゃないんだから」
「行動で素直さを出してるから良いであろう。
それより早く何か動画を流すのじゃな」
「はいはい、魔王様のお気に召すままに」
こうして二人で並びながら動画を漁っては候補を増やしていくのであった。




