恐竜国取合戦 決戦編19
壁と門では当然ながら門の方が耐久力は低い。
修羅はそれを見越してひたすらに門を攻撃していた。
門を攻撃している間にマオがスナイパーライフルで射撃していたが、その程度で修羅のティラノは動じない。
ティタノ、ギガノト、スピノ、ティラノ等の強力な肉食恐竜の使用はそれぞれ一頭までとされていた。
そうでなければ全員ティラノサウルスを連れてきかねないからである。
強力な肉食恐竜の中でもティラノサウルスの入手難易度は割と低く、オスとメスを揃えればブリーフィングで増やす事も可能だったからだ。
修羅の扱うティラノサウルスはその中でも選りすぐりの一頭であり、レベルアップ時に体力と攻撃力に多くのポイントを割り振った特別仕様である。
その莫大な体力がマオのライフルを受け止めて動じないという所業をやってのけたのだ。
止まる事のない修羅のティラノサウルスは遂に門を打ち破る。
「グオオオオオオオオオ!!」
勝利を確信したティラノサウルスは雄叫びを上げる。
そして門を超えて一歩先に進んだところで……ガシャン!!
大型恐竜用の特大トラバサミに足を挟まれまた。
「は?」
一瞬何が起こったのか分からなくなる修羅。
城門が一番弱い事は分かっていた。
それを嫌がるようにライフルで撃たれていたが無視して攻め続けた。
こうして嫌がると言う事は門以外に防護策は無いと思ったから。
修羅の中でマオの抵抗を受け続けるうちに門を破るか自分のティラノの体力が無くなる、どちらが早いかの勝負になっていた。
そして、彼女のティラノは体力に余裕を残した状態で門を打ち破った。
そのために勝利の雄叫びをあげて意気揚々と踏み込んだ瞬間の出来事だったのだ。
「こりゃどげんこつね?」
つい素に戻ってキツい博多弁の出る修羅。
何とか動かそうとするものの、自慢のティラノサウルスは全く動かない。
モニカの時にも説明したようにトラバサミを外すにはそのアイテムに対してアクションを起こさなければいけないのだ。
「しゃーなかね」
トラバサミを外すために降りようとした瞬間である。
修羅達の横を掠めるようにライフルの弾が飛んできた。
それはマオの降りた瞬間に撃ち殺すというメッセージであった。
「くぅ……せからしかね」
こうしてマオと修羅の戦いが膠着状態に陥って一定時間が経った時であった。
NNSの復活地点が破壊されました。
勝者は新生魔王軍です。
という戦いの終わりを告げるアナウンスが流れた。




