トイレ事情と麻雀と〜過去編8〜
ユウとマオがこの世界に来てから1ヶ月が過ぎようとしていた。
その間、なるべくこの世界の常識に慣れさせようと唯が付きっきりになっていた。
しかし、勇者として各地を旅してその土地ならではの文化を学んできた経験のあるユウ。
300年という長い時間の間に知識を蓄えてきたマオ。
この経験がある2人は柔軟にこの世界の常識に適応していった。
「この世界は清潔だしトイレも多機能で凄いよね。
トイレだけ見ても元の世界に戻れる気がしないや」
トイレから出てきたユウはそう言いながらマオの隣に腰掛ける。
ここはいつもの場所、くじよじの事務所である。
「それは妾も同感じゃの。
魔法の力は無いがそれ以上に科学という力の凄さがよく出ておる。
文明のレベルに差があり過ぎるのじゃな」
「こっちの世界ではお二人と逆に異世界に行く話が多いですけどね。
こちらの文明を持っていって成功するパターンが多いみたいですよ」
会話に入ってきた唯の言葉にマオは頷く。
「さもありなん。
このスマホという道具なぞ弄っているだけで時間があっという間に経っているからのう。
娯楽という点では比べ物にならん」
「私たちの世界ももっと娯楽があればいいんだけどね」
「妾にも責任があるが、あの世界はその日生きるのにすら苦労していたからの。
生命を維持するのに必要のないことを研究するものなどおらぬよ」
「確かに生活に余裕が無いと他のことは出来ないですよね。
そう言えばマオさんは先程から何をやっているんですか?」
唯はそう言うとスマホを操作するマオの手元を覗き込んだ。
「麻雀じゃな。
単純なのに駆け引きの奥が深く面白いものよ。
どれだけ学び対応出来るようになっても圧倒的な運にやられるのもまた一興」
「麻雀は良いですね。
今後の活動の為に覚えておくと良い技術ですよ。
よくコラボで使われているゲームですからね」
「へ〜じゃあ、僕も覚えた方がいいのかな?
見てる限りには全くわからないけど」
「ユウちゃんは逆に覚えない方がいいかもしれないですね。
それで素人のユウちゃんにマオちゃんが教えていく配信なんていいかもしれませんよ。
対局はマオさんが後ろについた状態で始めて、最終的に一人で打てるようになるとファンの人たちが盛り上がるの間違いなしです!」
唯の力説に二人は頷く。
「なるほどのう。
素人であることを逆手にとって成長物語に仕上げていくいうわけじゃな。
まだデビュー前じゃから企画の話になるが良いことを聞いたのう。
唯姉さんには今後も頼りにさせてもらうかの」
「僕も頼りにしてるよ!」
「2人とも・・・任せてちょうだい!」
唯は胸を張って2人に答える。
そして今後の計画について話し合っていくのであった。
久しぶりの過去編は内容進める前の雑談で終わってしまいました!
次は本格的なデビューに向けての話になっていきます。