恐竜国取合戦 決戦編18
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2022/09/11 誤字報告受け付けました。
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スピノサウルスの持ち味はその巨体から繰り出される圧倒的なパワーである。
三国教授は圧倒的なプレイヤースキルを補う為に敢えて難しい操作を必要としないスピノサウルスを選んだのだった。
とは言え、現在ユウが騎乗しているサイボーグ蜥蜴の機動力ならば攻撃を回避する事は容易い。
容易いのだが……反撃の手段がなかった。
反撃を行えばその隙を突かれて反撃を喰らう。
そうなれば勝ち目のない泥沼の殴り合いである。
「木材と火打石、繊維はあるしこれしか方法は無いかな」
ユウは目標である建物にワープしながら張り付き上に登っていく。
屋上にサイボーグ蜥蜴を置くとその場でとあるアイテムを沢山作り始めた。
そして、そのアイテムが完成すると生身で天井から降りてきた。
「おや………生身で戦うつもりですか?」
「まぁね。
甘く見ない方がいいよ」
ユウがそう言うと先程作った武器、槍をスピノサウルスに向けてぶん投げる。
高速で飛んでいく槍は易々と身体に突き刺さった。
ダメージを気にせずに三國教授とスピノサウルスのコンビが突っ込んでくるが、ユウはそれを回避してスピノサウルスの尻の部分に槍を突き立てた。
慌てて振り返るも既にそこにユウの姿は無く、離れた場所から再び槍を投げてくる。
そう……全ての大型恐竜は後方からの攻撃に弱い。
現実では使えそうな尻尾振りが使えないからである。
それでもそこそこの大きさがあるサイボーグ蜥蜴では攻撃して離れる間に旋回が完了して手痛い反撃を受ける事だろう。
しかし生身でこの戦法を繰り出すのであれば、小回りの利く身体ならば幾らでも戦える。
問題は銃火器などを持ってきていない事であったが、元々輸送用に使っていたサイボーグ蜥蜴には幾つかの資材が積み込まれていた。
その資材で簡単に作れる武器が槍なのだ。
コスパは非常に良く、刺すだけでなく投げる事にも使える。
もちろん投げれば失われるのだが、コスパの高いこの武器は、残された資材で何十本と制作する事が出来る。
いつしか形勢は完全に逆転しており、この場を支配しているのはユウの方であった。
「やれやれ……まさか生身の人間に言いようにやられてしまうとは。
ユウさん……お願いがあるのですが、降参しますのでもう一つの切り札を見せていただいても良いでしょうか?」
完全に勝ち目のなくなった三国教授がそう提案してくる。
三国教授はユウの持っている秘密兵器の見当がついていた。
それ故にどうしても目の前で見たかったのだ。
三国教授ではなく、いくつになっても男の中の心に眠る三国少年の魂が見たいと叫んでいたのだ。
「うーん、インチキ臭いから本当は勝負が決してしまってから使いたかったんだけど……リクエストされたら仕方ないね」
ユウはそう言って空いている場所にもう一つの恐竜玉を投げた。
そして現れたのは巨大な人型の兵器……いわゆるロボットであった。




