恐竜国取合戦 決戦編15
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修羅が乗るティラノサウルスが新生魔王軍の門まで迫っていた。
門の上に配置されたタレットが応戦しようと反応するが、そこに富国とモニカぎロケットランチャーを撃ち込んでタレットを沈黙させる。
「さぁ、この門を一思いに噛み潰してしまうのです!」
修羅がティラノに命じて門に対して攻撃を行う。
その噛みつき攻撃で門の耐久力はどんどんと削られていく。
「これ、かなり不味い状況じゃないんですか?」
その様子を見ながら八起子が呟く。
「きっとユウが何とかしてくれる筈。
妾達はそれを信じて時間を稼ぐのじゃ」
マオはそう言って八起子を元気付ける。
「分かりました……ハニーちゃんもこっちに戻ってきているみたいですし希望は捨てちゃダメですよね!」
「そう言うことじゃ。
と言うわけで妾の方から反撃を試みてみるかの」
マオはそう言って本拠地の屋上に付けられた物見櫓の上に登りスナイパーライフルを構える。
「騎手を狙いたい所じゃが……そこを狙ってしまうと直ぐに気付かれるかもしれぬからのう。
大人しく大きな的を狙うとするかの。
八起子よ、ライフルはどのくらいのペースで撃てるのじゃ?」
「ここが要ということで先程から弾を量産しています。
ですのでお気になさらずにガンガン撃っちゃってください」
「ありがたいのう」
マオはそう言うと修羅の乗るティラノサウルスに向かって引き金を引いた。
♢ ♢ ♢
ナコとバスの戦いが始まったが、誰の目から見ても不利なのはナコであった。
持っていた銃火器は高天ヶ原の本拠地で撃ち込んでおり、残っているのはセミオート式のピストルのみ。
その弾数もとても少なかった。
対してバスは高速で走るカルボネミスに乗った状態でアサルトライフルを構えていた。
更に馬鹿にされていたカルボネミスであるが通常の恐竜に無い特性があり、それがバスを有利にしていた。
その優位性とは甲羅に安定して座ることが出来るために騎乗したまま武器を扱えるということである。
通常の恐竜は手綱をしっかり握る必要がある為に武器は持てないのだが、カルボネミスは甲羅に付けた鞍で身体を固定する仕様になっている為に武器を扱えるのだ。
欠点として身体を固定している為に左右が30度くらいの狭い角度しか向けない事であるが、騎乗して武器を扱えるというのは対人戦においてこの上ない優位性である。
ナコは森の中ということを活かして木に隠れながら何か方法が無いか思案する。
「高速で動いているからアレに弱いっスかね?」
そう呟くと隠れながら近くの木を伐採して木材を集め始めた。
♢ ♢ ♢
NNSの本拠地の裏側の崖をサイボーグ蜥蜴が器用に登っていく。
ロッククライミングのプロを驚愕させる程のスピードである。
壁を無事によじ登り終えると静かに崖上の城壁の上に降り立った。
「やっぱりこっちの防備は脆かったね」
「ええ、ですので私がこちら側の防衛に当たらせてもらっています」
「そうなるよね、やっぱり」
突然声をかけられたが、ユウとしてもこの陣地を築いた上で防衛するならここで守ると思っていたので驚かない。
「折角の最後の勝負です。
見栄え良くあちらの広場で戦いませんか?」
「随分とサービスが良いんだね」
「視聴者に向けて分かりやすく勝負を演出するというのも大事でしょう。
ユウさんが私を倒せればそのまま復活地点を壊して貴女の勝ちです。
逆に私の勝ち筋は修羅さんが新生魔王軍の復活地点を破壊するまで時間を稼ぐ……それともう一つ」
「ここで僕を叩きのめすことってこと?」
「ええ、実に優秀な生徒で助かりますよ。
さ、それでは始めましょうか」
教授はそう言って恐竜玉を目の前に投げた。