恐竜国取合戦 決戦編12
ユウはボロボロのケツァルコアトルスと共に上空から高天ヶ原の陣地を強襲する。
人が乗っていない恐竜には細かい指示が出来ないため、ケツァルコアトルスは少し浮いた状態で多数の肉食恐竜に囲まれながら反撃をしていた。
ユウはそんな群れの端からプランに乗って攻撃を仕掛ける事で着実に数を減らしていく。
(このペースだとじゃケツァルの体力が持たないかな)
想像以上に粘る肉食恐竜達にユウは焦りを覚えた。
だが、そんな時に後ろから銃声が響き肉食恐竜達へとダメージを与えていった。
「遅れてソーリー。
ここからはワタシもサポートするネ」
それはプロコプトドンの乗ったハニーであった。
ハニーに撃たれた恐竜はそちらに向かって移動するが、プロコプトドンの方が遥かに移動力が上だ。
安全な場所まで移動してから降りて射撃。
距離を詰められたらプロコプトドンに乗って離れると言う見事なヒット&アウェイを繰り返して着実に防衛している肉食恐竜の数を減らしていった。
この時、蝶子は前面にある大きな建物に、ショウタは頑丈な壁に囲まれた復活地点にいた。
復活した時は装備なしの状態であり、戦うには保管してある装備を取り出す必要がある。
だが、ショウタのいる復活地点は最低限の壁で囲まれている為に装備を整えるには前面の建物に行くしか無いのだ。
外は大乱闘になっている為に出るに出られないショウタ。
一方で蝶子も虎の子のアルゲンタヴィスと共にいるのだが、このアルゲンタヴィスは爆弾投下用にスタミナと積載量を強化した個体であり戦闘に向いてない。
白兵戦に必要な物資も天照子が持っていった為に身動きが取れない状態であった。
表ではケツァルコアトルスが倒れて囮役をユウが引き受けていた。
ナコに向かった個体を攻撃して自分たちの方に注意を向かせているのだが、その度に反撃を喰らう。
飛行生物の中で一番体力のないプテラノドンのプランは既に限界に達していた。
そして……別れが訪れる。
プランの死亡ログが流れてユウは地面に落とされる。
地上生物を相手にしていたお陰で落下ダメージは無いが、ユウの心の中には悲しみが渦巻いていた。
「プラン、ごめんね。
今までありがとう」
だが、数多の戦いを切り抜けてきたユウは瞬時に気持ちを切り替えると自分たちに向かってくる肉食恐竜達に向き直る。
足が無くなったユウではゲームスキルでカバーするにも無理があるだろう……だが、少しでも勝つ確率を上げる為に次は自分が囮役を引き受ける。
その覚悟で足を進めた時だった。
小さな建物が大爆発を起こす。
そして流れる高天ヶ原の復活地点が消えたというログ。
慌てて辺りを見回すと高天ヶ原の恐竜達が目の前から消えていった。
そして、大きな建物の上で親指を上げてアピールするナコ。
彼女は復活した後に急いで装備を整えて高天ヶ原陣営に向かっていった。
そして飛行生物がいない事を確認すると建物に梯子を設置して登り、そこから小さな建物に向けてロケットランチャーを発射したのだ。
彼女としては何発も爆発物を撃ち込んで頑強な壁を壊す覚悟だった。
しかし、ゲームの仕様で壁のすぐ真横にある復活地点に爆発ダメージが貫通して通ってしまったのである。
これが天照子が気付かなかった無敵と思われる守りの弱点であった。
復活地点を一マスでも壁から離していたならば起こらなかったことなのだが今更言っても仕方ない。
この出来事は今大会最大のプレミとして長く語り継がれていくことになり、多くの切り抜き動画が制作されるのであった。