恐竜国取合戦 決戦編10
天照子達がNNSの城攻めを開始したタイミングでユウ達も動く。
ユウは変わらずにプランに乗って遊撃を担当するのだが、ここでの1番期待がかかっているのはナコであった。
「これが現在の私の技術の限界です。
ナコ、この子をよろしくね」
八起子がそう言ってナコに預けたのは以前手に入れたケツァルコアトルスであった。
その背中にはNNSのティタノサウルスや高天ヶ原のパラケラテリウムのように巨大なプラットフォームが載せられていた。
更にそのプラットフォームには騎乗者を守る壁が完備してあり、前方と後方、左右と合わせてオートタレットが4門。
その上が段差になっており、更に上の階の中央、左右に1門ずつの計6門のタレットが設置してあった。
「地上からは私たちがイキマース」
そう言ってハニーが用意したのは古代カンガルーとも言うべき生き物、プロコプトドンだ。
ピョンピョンと軽快に飛び回るプロコプトドンは素早い上に戦闘力が高く奇襲にはうってつけの生物と言えるだろう。
作戦としてはユウが先行して高天ヶ原の基地を挑発。
その挑発に乗って出てきた飛行防衛隊をナコのケツァルコアトルスで殲滅。
制空権を得たところで空から強襲をかけて混乱しているところにハニーがカンガルーで突撃し、基地にリモコン爆弾を仕掛けるなりロケットランチャーで吹き飛ばすというものであった。
ユウは空から高天ヶ原陣営を望遠鏡で覗く。
高天ヶ原陣営はプテラが五頭、地上ではテリジノやカルノタウルス、バリオニクスと言った凶暴な肉食獣が防衛任務に就いていた。
更に陣地の様子を見ると手前には金属で出来た立派な建物が、後ろには最大硬度を誇る近未来素材で出来た小さな建物が建っている。
「という感じなんだけど本命はどっちだと思う?」
「後ろの小さな建物じゃな……囮として時間を稼ぐために強固にした説もあるのじゃが」
「それ言い出したらキリがないでしょ。
違ったらもう一回やればいいだけだよ」
「それもそうじゃな」
「と言うわけで早速仕掛けてくるよ……プラン、すこしだけ無茶するけど付き合ってね」
ユウが相棒のプランの手綱を握って大空を駆ける。
敵を見かけた高天ヶ原のタレットが射撃してくるがプランを上手く操縦してその弾幕を掻い潜っていく。
プテラが待機している場所を掠めるように飛ぶと、それに反応したプテラノドン達が大空に舞い上がって追いかけてくる。
「いち、に、さん、し……よしよし、5頭ついてきてるね。
誰か乗ってるやつもいないみたいだし、このまま殲滅しよう」
「オッケーっス!
八起子の芸術の力を見せてやるッスよ」
そう言って逃げるユウと追いかけるプテラノドンの間に入るようにケツァルコアトルスを動かす。
ケツァルコアトルスは銃弾の雨霰をプテラノドン達に浴びせる。
脆いプテラの軍団はその攻撃であっという間に沈んでいった。
「ラクショーっスね、先輩。
この調子で行きましょう!!」
「あら……そんなに簡単にはやらせないわよ」
遥か上空から蝶子の声した。
慌ててそちらの方を向いたのだが、そこから何かが落ちてきたと思った瞬間に、何かはケツァルコアトルスの背中の上で大爆発を起こす。
「これはまさか!?」
ケツァルコアトルスの操縦席は壁で守られていたのだが上からの攻撃は想定されていなかった。
今の一撃に耐えられなかったナコの死亡ログが表示される。
「それではごきげんよう」
上空では優雅にアルゲンタヴィスを操縦して陣地に戻っていく蝶子の姿が見えた。