恐竜国取合戦 決戦編9
2023/06/10 誤字修正受け付けました。
いつもありがとうございます。
「……よし!
快復したよ」
一時的に休憩していたユウが立ち上がって戻ってくる。
「本当に問題は無いかの?」
「うん、全く。
それで戦況はどうなった?」
「いま中央でティタノサウルスが倒されたところじゃな。
決めては2発目の爆弾投下みたいじゃ」
「ショウタ先輩身体張りすぎでしょ。
マオはこの後の展開をどう見る?」
「NNSは攻めの要を失った事で守りに入るじゃろうな。
そこで高天ヶ原がどう動くかじゃが……天先輩の性格から考えるに今回の戦いで敗北したNNSの方を狙うじゃろう。
この予想を軸にすると、高天ヶ原と合わせてNNSを潰すか?
それとも二カ国の消耗戦を見るか?
後は攻めに転じて戦力が減っている高天ヶ原を狙うかじゃな」
「うーん……共闘で足並み揃えたなら確実にNNSを潰せるけど裏切りが怖いね。
逆にこっちも裏切るいいタイミングを見る頭脳戦が必要かな」
「そうじゃのう。
非常に繊細な立ち回りが要求されるし、この手の化かし合いで天さんに勝てる気はしないのじゃな」
「2番目の意見は論外。
作戦的には有効だけど制限時間がある以上消極的な作戦取るのは愚策だよ。
何よりもこの戦争に参加した意味が無いしね」
「うむ、妾もそう思う」
「3番目は天先輩がどれだけの防備を敷いているかでこちらの損害が変わるかな。
ただ、イケイケの性格を考えると防御にはそこまで力を注いで無いと思うんだよね」
「どうやら妾と同じ意見のようじゃな。
そのためには天さん陣営の本拠地を見つけなければいけないんじゃが……ナコから通信が入ったのう」
「パイセン、お疲れっス!!
いま北西の方角から北東の方角に向けて多数の恐竜が進軍してるっスよ。
望遠鏡で確認したけど高天ヶ原陣営で間違い無いっスね」
「どうやら本陣の位置も割れたみたいじゃな」
♢ ♢ ♢
同時刻……高天ヶ原陣営はNNSに向けて進軍していた。
空からはタペヤラに乗った姫花、アルゲンタヴィスに乗ったメルの2人に率いられたプテラノドン10匹。
地上からはパラケラテリウムに乗った天照子に率いられたティラノサウルス二頭とユタラプトル8頭。
空と陸から最大火力で攻める作戦であった。
「NNSの本陣確認できました……って、うわぁ」
空から望遠鏡を覗いてNNSの本拠地を確認した姫花が絶望的な声をあげる。
それもその筈であろう……NNSの本陣は背後に崖があり、陸上生物では前面からしか侵入することが出来ない。
その前面には多数のタレットが配置されており下手に近づこうものなら蜂の巣にされてしまうだろう。
更に背後には対空砲が設置されており、飛行生物で近づく事もできない。
自然をうまく利用した鉄壁の要塞……そんな言葉が浮かんできた。
「そんな状況なんですけどどうしますか?」
「いいから突っ込むわよ!
私のパラケラちゃんがその程度の障害で止まる訳ないでしょ。
潰さなきゃ勝てないんだからね」
「ううう……キルログに私の名前出てたしモニカとバスちゃん怒ってるだろうなぁ」
「そこも弱音吐いてないで同期は全員潰すくらいの気概で戦いなさい。
さぁ……行くわよ!!」
パラケラテリウムの手綱を掴ん天照子はそのまま加速して真っ直ぐにNNSの本拠地へと向かっていった。