恐竜国取合戦 決戦編 1
恐竜のいる無人島オンラインゲーム。
くじよじが打ち立てたサーバーでは一触即発の事態に陥っていた。
数人で協力していた天照子と北乃修羅が作った国。
お互いにどちらが先に仕掛けたかという口論から戦争が勃発しようとしていた。
戦争とはいえゲームの中の事なのでキチンとルールを設定して行うのだが、それでもお互いに持てる力を全て結集しての戦いである。
その為にお互いにペット化した恐竜や物資をどれだけ失う事になるのか予想が付かなかった。
しかし、それでもお互いの国の威信を懸けて負ける訳にいかない。
勝負はルールを細かく煮詰めて後日となったので、それまでは準備期間になったのだが準備とは物資を集めるだけでは無い。
戦争に必要な人手を集める為に水面下での交渉が始まっていた。
その様子を見てほくそ笑む人影が二つ。
「いや〜上手くいったっスね」
「本当にこんな事して良かったのかな?」
高台から会談の様子を見ていた白船ナコと七転八起子の2人である。
「自分たちがショウタ先輩を陥れた事っスか?」
「そうだよ。
こんな事したのがバレたらどうなるか……」
「それなら心配御無用っスよ。
あの人達は何処かで戦いたがっていたっスからね。
お互いに良いきっかけが出来たくらいにしか思ってないっスよ」
そう……ショウタを襲い戦争のキッカケを作ったのナコと八起子の同期コンビであった。
「はぁ、しょうがないなぁ。
私はナコちゃんについていくから何とかしてよね」
「それはもちろんっスよ。
八起子は自分が守るから大船に乗ったつもりでいるっスよ。
それにこっちには秘密兵器がいるっスからね」
そう言って笑うナコのポケットには青白く光るボールが入っていた。
一方でユウ達も設備と物資の拡大により安定して恐竜を始めとした様々な生物を捕まえていた。
その中でもアルゲンタヴィスという巨大な鳥をペットに出来たのは大きかった。
この鳥はスピードこそ速くないものの持ち運べる量が大きい上に小型の生物はその巨大な足で掴む事ができたのだ。
ユウはこのアルゲンタヴィスを上手く操り、柵で作った牢の中に上空から放り込む事で安全に昏睡させて手懐けるという方法を編み出したのだ。
更にユウ達にあり得ないほどの幸運が舞い込んできた。
「ねぇ、あれって完全にハマってるよね?」
「うむ……全く動けないようじゃな」
島の中央付近にある火山に鉱石を取りに来た彼女達は超巨大恐竜を見かけた。
それはケツァルコアトルスというプテラノドンを巨大化させたような恐竜であった。
その大きさは10メートルを超えると言われており、そんな巨大で空を飛び回るので捕獲するのが難しい恐竜である……本来は。
このゲームでは恐竜は無からスポーンするという仕様である。
そしてその場所は完全なランダムであるので偶にこういう事が起こるのだ。
つまりはと言うと……
「岩に挟まってるね」
「麻酔銃を撃ってもピクリとも動かんから間違いないのう」
そう……スポーンした場所にスタック(バグで動けないこと)していたのである。