ネタバレ、ダメ!絶対!!
それはとある日……ユウがゲームの配信をしている時であった。
そのゲームは有名な人気の潜入スパイゲームであり、通常時は敵に見つからないように。
ボス戦は基本的にある手順を踏まないと倒しづらいか倒せないというゲームであった。
その為にユウ本人は勿論のこと、リスナー達はどうやってボスを倒すのか。
楽な倒し方を閃くのか、それともゴリ押すのか?
意外なボスの倒し方が分かった時にどういう反応をしてくれるのかを楽しみにしていたのである。
しかし……
・そのボスはチャフ・グレネード使うと楽だよ
・無線のコードはパッケージ裏の写真に載ってる
・そのボスは素手で殴らないとダメ
と、コメントする人物が現れた。
これらはユウがプレイ中にどうしようもなくて聞いた訳でない。
ボス戦が始まる直前に流れてきたのである。
ユウとしてはコメント見て雑談しながらプレイしていたので嫌でも目に入ってしまう。
それを見ていないフリをしてプレイする事は出来ずにとりあえずお礼を言いつつ攻略情報はこっちが聞いた時だけにしてねと釘は刺しておいた。
リスナー達も楽しみにしておいたリアクションが見れずにガッカリしたものの、ユウが雰囲気を壊したく無いと優しく注意しておいたのでネタバレはやめようねと大人な対応をしていた。
だが、その最中のボス戦でそれは起きた。
このボスはムービーでメタい事を行い、プレイヤーに超能力の存在を信じさせるという作中屈指の人気シーンを演出する事で有名なボスである。
更に倒し方が特殊過ぎるくらいに特殊であり、通常時はプレイヤーの心を読み取って攻撃を先読みで回避する。
だが、これはメタの視点からコントローラー端子の1から読み取っているという設定なので、コントローラーを2に入れ替えると攻撃が当たるようになるのだ。
当然ながらこれを知っているリスナー達はここが一番のリアクションポイントとして、ユウが苦戦する様とその意外過ぎる攻略法を知った時にどうリアクションするのかを楽しみにしていたのだ。
だが……
・そのボスはコントローラーを2に入れ替えないとダメージを与えられないよ。
このコメントに流石のリスナー達もキレた。
・なんで言うんだよ
・お前いい加減にしろよ
・ふざけんな!!
コメント欄は大荒れに荒れ、収拾がつかなくなる。
普段なら止める側のユウですら一連の流れにはかなり怒っていた。
それはそうであろう。
配信の見所がこの心無いリスナーのせいで全て潰されたのだ。
とりあえずの処置としてこのリスナーのコメントをブロックして先に進めることになったが、雰囲気が悪くなったので一旦ボスを倒したところでセーブして中断する。
「今日は本当にごめんね。
こんな事になるとは思わなくて……早めにブロックしておいた方がよかったね」
・ユウちゃんが悪い訳じゃないから
・アイツが全部悪い
・ネタバレダメって書いてあるし、配信中にも何回も注意してたからね
「そう言ってもらえるとありがたいよ。
いまコメントしてくれている人にそんな人はいないの分かってるけど一回だけ言わせて。
ネタバレや助言は配信者が求めた時だけにしてね。
貴方は教えてあげていい事したつもりかもしれないけど、僕を含めた配信者もリスナーも誰も得せず逆に損してるから。
本当に好きで応援しているなら応援のコメントだけを打ち込むようにしてね」
・はーい
・もちろん
・了解!
「明日からはまた元気に配信するから見に来てくれると嬉しいよ。
それじゃ、おつかれー」
・おつかれー
・おつかれ
・おつかれ
♢ オマケ ♢
「けけけ、あの慌てっぷり……やっぱり配信中のネタバレはやめられねぇぜ」
「貴方が変なちょっかいをかけてきてた子ね。
全くしょうがない」
「な……なんだお前!?
何処から入ってきた!!」
「そんな事はどうでもいいじゃない……そんなにネタバレが好きならこれから1ヶ月、貴方が見る漫画もアニメも全てネタバレが頭に浮かんでくるようにしてあげる。
大丈夫……貴方一人が楽しめるようにその事について口に出せない呪いもかけてあげるから」
「な、何を……って誰もいない?
いや、誰かいたっけ?
詳しく思い出せないな。
そう言えば漫画の続きを観るんだっけか……う、なんだ?
結末だけが頭に浮かんできて……うわ!やめろ!
あれもこれも楽しみにしてた結末をネタバレするんじゃねぇ!?
お願いだからやめてくれえええええ!!」
こうしてネタバレ犯の一人は1ヶ月この生活を送ってすっかり改心したとか。
※ユウ達はギリシャ神話の偉い神様がかけた迷惑の慰謝料としてネットの悪意から防衛して貰っています(過去話参照)
ネタバレコメは本当に配信している人達に迷惑をかけてしまうのでやめましょう。
出来るならば匂わせコメもやめた方がいいです。