スーパーな悪夢
ユウが配信を終えて今に戻った時にマオも何やら疲れた顔をしながらやってきた。
「あら、なんか疲れてるじゃん?
どうしたの」
「いや、先程プレイしたゲームが濃ゆくてのう……筋肉ムキムキマッチョマンだらけで」
「あ、僕もそれやってたよ。
世界観に慣れたから僕は平気だったけどマオにはキツかったか」
「ゲーム自体の難易度が高いのも原因じゃな」
「ああ……あれ本当に難しいよね」
「本当に難しいのじゃ」
2人はそう言ってお互いにプレイしたゲームを思い浮かべながら同時に言葉を発した。
「シューティングって難しいよね」
「格ゲーは苦手なのじゃ」
「え?」
「んん?」
お互いに言った言葉が予想と違って顔を見合わせる。
「スーパーな兄貴だよね?」
「スーパーな兄貴なのじゃ」
「格ゲーやってたの?」
「シューティングゲームをやっておったのか?」
お互いに話が噛み合わないのでゲームのパッケージを持ってくることにする。
お互いに持ってきたソフトを見ると同じキャラクター達でありながら片やシューティング、片や格闘ゲームとなっていた。
「マジで意味わからないんだけど……なんで格ゲー?」
「いま調べたのじゃが元々はシューティングでほぼそのシリーズなのじゃが、妾がやったのだけが番外編のようなものらしいのう」
「他のって……どんな感じ?」
「妾達の配信プラットフォームに様々な動画がでておるようじゃから見てみるかのう」
こうして2人は様々なシリーズの動画を見てみたのだが、ひたすらに頭の中に疑問符が湧いていた。
「なんで……なんでこんなに筋肉と変な世界観に拘ってんの?」
「OPで流れていた体操の映像が狂いすぎていて頭がおかしくなりそうなのじゃ」
そんな事をツッコんでいたのだが2人は段々と
「だから!なんでそこでそうなるんだよ〜あはははははは!!」
「訳が分からなさすぎて腹が痛いのじゃ〜あーはっはっはっ!!」
深夜と言うことも相まってテンションがハイになっていっていた。
もちろんこんなものは長く続く訳でもなく……
「はー、はー。
何で僕こんなくだらない事で爆笑してたんだろ」
「冷静になると何一つとして笑えないのじゃがな。
変なスイッチが入ったとしか言えんのう」
「ねぇ、今日一緒に寝ない?」
「奇遇じゃの……このままだと夢にまで出てきそうで一人で寝るのは嫌だと思ってたところじゃ」
こうして一緒に寝た二人だったのだが互いに見た夢は同じで、筋肉ムキムキの列車に乗ってスーパーな兄貴の世界を回るという夢だったとか。