ユウマオ初めての旅行 福岡の夜編 1
※以前書いた福岡旅行の夜編となります。
「だいぶ暗くなってきたが福岡の夜の名所があると言う事じゃったな」
「どんな所だろうね?」
2人を連れてミコは福岡で最も栄えている場所、天神の街を歩いていく。
そして、西鉄という私鉄の天神駅に到着した。
「ここが天神駅ですよ。
福岡市内でしたら私鉄である西鉄の方が利用者が多いくらいで、この天神駅の周りが一番栄えていますね。
JRですと博多になるのですが、あそこはビジネス街になっていて遊ぶ場所という感じではないんですよね」
「へぇ〜そうなんだ」
「横浜駅も桜木町駅みたいなものかのう」
余談であるが神奈川に住む人たちも横浜駅は横浜では無く、横浜は桜木町駅の周りだと言う人が多い。
福岡人に聞いても栄えているのは天神で、博多ではないと答える人が多いであろう。
そう言った点で似ているかもしれない。
「この駅の裏に警備の警に固めると書く公園があるのですが何と読むか分かりますか?」
「え?なんだろう……けいこ公園とか?」
「これは聞いたことある気がするのじゃが何じゃったかのう……2文字だったような気が……」
「惜しいですね。
正解は警固公園です。
夜にここに来るとストリートミュージシャンが多いのですよ」
ミコの説明通りに路上では何人もの人がギターを持って歌を披露していた。
中にはキーボードを持ち込んで弾き語りをしているものもいて中々の活気である。
「へぇ〜こんな事出来るんだ」
「音楽の街というだけあって寛容じゃのう」
「あ、いえ……許されてはいませんよ。
警官が見回りに来たら普通に止められます。
ただ、規模にもよりますかね……ああいう風に座ってダラダラと仲間と喋りながら軽く鳴らすくらいならお目溢しされやすいです。
しかし、複数の楽器を用いたりアンプを使うと止められやすいですかね。
音が大きすぎると通報もありますからね……見回りで咎められるなら軽いものですが、通報を喰らうと1発アウトです」
「意外とシビアなんじゃのう」
「まぁ、公共の場所だから仕方ないよね」
「ちなみに私が知っているそれなりに良いアーティストの見分け方ですが、基本的に路上ライブを目的にしている人はあまり伸びないイメージですね」
ミコの言葉がよく分からずに2人は首を傾げた。
「皆、路上ライブをしにきておるのではないか?」
「それかあそこの人たちみたいに練習してるとか」
ユウの目線の先には男性2人が譜面を書きつつギターで音を鳴らしている。
恐らくはこの場で新曲の作成をしているのであろう。
「目的と手段の話ですね。
例えばあそこの人は沢山の見物人に囲まれていますよね?
その前にはチラシが置いてあったり、譜面おきに次のライブハウスでのライブ予定が書いてあります。
あの人は既にライブハウスの出演が決まっており、少しでも新規の客を呼び込むためにここで演奏をしているんです。
逆にチラシも告知もなくて歌っている人というのは、このロクな設備もない環境で聞いて貰って満足しているという……志の違いとも言えるかもしれませんね」
「先を見据えておるかどうかという訳か……分かる気がするのう」
「路上ライブをそんな目で見たこと無かったから新鮮かも」
「福岡は激戦区ですからね。
路上一つ取っても新規のファンの取り合いなのですが、それが分からない人は趣味で終わる事が多いですかね。
ここはこの辺にして腹ごしらえにユウさんの好きそうな店に行きますか」
警固公園と雑餉隈は初見で読めない漢字として有名です。