ジェシー、潰れる
6/27 14:30 誤字報告受け付けました。
いつもありがとうございます。
ジェシーを家に迎えた2人。
ウキウキ気分の新しい後輩にマオは少し悪戯したくなっていた。
「ジェシーはお酒は飲めるかの?」
「オフコース!
お酒はとっても大好きでーす!!」
「では、今宵は歓迎の意味も込めて乾杯しようではないか」
マオはそう言って魔力を集中させ、ジェシーの目の前で大人の姿に変化した。
「ふぁ……ファンタスティーーーック!!
こ、これが魔法ですか!?」
生まれて初めて見た魔法の力にジェシーのテンションは一気にMAXまで上がった。
「はいはい、興奮するのは良いけど暫くは大人しくしててね。
とりあえず冷蔵庫から缶ビールと乾き物出しとくからそれで2人とも大人しくしててよ。
今日のご飯は僕が作るから2人で遊んでて」
「という訳じゃ。
妾たちはユウに甘えて乾杯させてもらおうか」
「イエース!」
こうして乾杯する2人。
お酒を飲みながらの会話というものは実にスムーズに進んでいく。
飲みニュケーションとはよく言ったものであろう。
「配信で2人の空気感とっても大好きでーした。
でも、リアルでこんな風に見るのはもっと良いですねー」
「妾たちはこれが普通じゃからそう言われても戸惑ってしまうのじゃがな」
「それだけナチュラルという事で良いことでーす。
私は……少し羨ましいデスね」
これまでの明るさを絶やさなかったジェシーの表情に僅かな陰りが見えた。
「何かあったのではないか?
妾とジェシーは先輩後輩の間柄になるのじゃ……良かったら話してみてくれぬか」
「実は日本に来るときにファミリーと喧嘩してきてしまったんデース。
私が仕事も何もかも捨てたのが受け入れてもらえなかったんデスね。
今は家に帰るに帰れないんデース」
「ふむ……家庭のことなので安易には立ち入るべきではないが。
お主がしたいことを優先するのは当然ではないか?
ジェシーの人生はお主のものじゃ……法に触れることは論外じゃが、そうでないなら自由にやって構わぬではないか?」
「私はファミリーの誰かにそう言ってもらいたかったデース。
でも、誰もそんなことは言ってくれなくてアメリカを飛び出しきました。
……そんな私をこうして迎え入れてくれるユウとマオはまるでニホンのファミリーみたいに思ってしまいマス」
「お待たせ〜ウイスキーセットに生ハムやサラダのおつまみ作ってきたよ。
何の話をしてるか分からないけどこうやって知り合って家に泊めてるんだからジェシーは家族みたいなもんでしょ?
いつでも頼っていいんだからね」
「私、ニホンに来て本当に良かったデース!!」
自分を歓迎してくれたユウとマオにジェシーのテンションは最高潮まで上がった。
旅の疲れもあったのか、そのテンションで飲んでいたのであっという間に酔い潰れて眠ってしまう。
ユウは自分の部屋のベッドにジェシーを寝かせる。
「ユウ……ちょっと付き合わぬか?」
入り口から声がかかり、そちらを見るとマオがウイスキーのボトルとグラスを二つ持っていた。
「仕方ないなぁ……少しだけだよ」
ジェシーの日本一日目はこうして怒涛の展開で終了したが、ユウとマオの1日はもう少しだけ続きそうである。