プラモデルを買おう 1
この日、2人はお台場に遊びに来ていた。
先日公開された有名なロボットアニメの映画を観るためである。
最近流行りの4DXという形式で映画を観たのだが、その驚きと感動は言葉に表すのが難しい。
無重力のシーンの椅子の動きや、激しい水飛沫、市街地戦で爆発が起こると実際に劇場内に煙が起こり、閃光が巻き起こればライトがピカピカと辺りを照らす。
また、ロボットアニメの醍醐味である大迫力の戦闘シーンでも、その戦闘の衝撃に合わせて椅子が激しく揺れて臨場感を醸し出していた。
こうして大満足で終わったのだが、折角なのでプラモデルを買っていこうと言う話になったのだ。
お台場にはこのロボットアニメのプラモデルを扱う有名な場所がある。
外国のファンも多いこの作品という事で一種の観光スポットになっている場所だ。
「うわ〜見てよ!
早速色々と何か飾ってあるよ」
入ってすぐに有名人が作ったらしいプラモデル達が2人を出迎える。
そのどれもがそのまま組み立てたのではなく、様々な工夫や改造が施されているのが分かった。
「ふむふむ、奥の方に進むと……なんじゃ、これは!?」
「どうしたの……って、すごっ!」
2人が驚愕するのも無理はない。
その場所には広いスペースにプラモデルと関連グッズがこれでもかと置かれていた。
あまりの種類の多さに2人の目は回りそうになる。
そんな2人を見かねたのか店員が声をかけてきた。
「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」
「うむ、実は先ほどこの映画を観てきてのう。
折角なのでこちらにも寄らせてもらったのじゃよ」
そう言ってマオは先程観てきた映画のパンフレットを店員に見せた。
店員はそれを見て納得したのか2人を案内し始めた、
「その主人公機体のプラモデルはこちらですね。
こちらの規格として1/144、1/100、1/60というサイズに分かれていて、こちらは一番小さくて組み立てやすい初心者用となっています、が……」
「が、何かあるの?」
「この機体はもともと大きいので1/100サイズと同じくらいの大きさとパーツ数があるんですね。
この規格はかなり複雑で組み立てるのが難しいので、プラモデル未経験でしたら先ずは別の機体の方がいいでしょう。
ちなみにこちらが完成品ですね」
そう言って案内されたショーケースの中では先程の映画で観た主人公機とライバル機が向かい合って空中戦を演じるように吊るされていた。
その大きさは確かに他のプラモデルの機体と比べても大きいと感じる。
よく見れば箱自体がかなり大きい。
そうなってくると興味が湧いてくるものでユウが親切な店員に訊ねる。
「1/60って言うのが一番大きくて大変なんだよね?
どんな感じなの?」
「それでは案内しますね」
そう言って店員が案内された先には映画でマフィアが持つジェラルミンケースの様に巨大なプラモデルの箱が置いてあった。
箱の表面には赤いデザインの刀を差したロボットが描かれている。
「この辺りになりますとお値段が万を超えるものばかりです。
加えて中にあるパーツの数も4桁を超えますので、先ず初心者の方どころか中級者でもお勧めはできませんね」
「それでもこれを買って組み立てるものがおるんじゃな」
「私の経験ですが、学生の頃にプラモデルサークルに入っておりまして。
そこで仲間達と協力して組み立てた事ならありますよ」
「1人だと厳しそうだよね。
じゃあ、初心者用のものを見せてもらってもいいかな?」
「はい、こちらです」
映画の感動の余韻が残る2人のプラモデル巡りはまだ終わらない。
今話題の映画観てきた影響です。
4DXめっちゃ良かったです。