昔のゲームと異世界の裏話
「もう一本のゲームもやってみようかな」
「ふむ……これはとても配信では流せぬのう」
「タイアップしてるタレントさんのその後の行動がねぇ……芸能界の不祥事で言うとかなりのレベルだよ。
僕たちがこっちに来てからは活動してないから知らなかったけど、ゲームやるにあたって調べたらドン引いたもん」
「これに比べたら公園で裸で騒いでいたアイドルが可愛く見えるのう」
ユウとマオはパッケージに映ったサングラスにちょび髭のおじさんを見てため息をつく。
主人公のタレントはかつてお茶の間を沸かした一流のタレントであったが、薬物によって逮捕され、復帰してからも依存は抜けずに周りの期待を裏切り続けた。
現在ではあまりのイメージの悪さに復帰は絶望的だと言われている。
「さて、肝心のゲームの方は……典型的な横アクションかな。
髭の配管工さんによく似てるね……けど、操作性はすごく悪いかな」
「この時期は流行り物を真似る事が多かったみたいじゃな。
かと言ってそれを真似て作る力はない故に劣化が生まれる事が多かったようじゃ」
今もクソゲーと呼ばれて物を売るレベルじゃねぇぞ!
というゲームは多数存在する。
しかし、この時代ほど地雷の多いゲームがまかり通っていた事は無いだろう。
技術不足、ヒント不足、ゲーム機のパワー不足……ゲームを作る上でありとあらゆるものが不足していた。
それらを誤魔化す為に人気漫画やタレントとのタイアップ作品が作られていたが、その殆どは金を取れる程の出来ではなかった。
中にはゲームの内容が元の作品と全く関係なく、原作者を怒らせたものまであるくらいだ。
当然、そんな作品を面白いと夢中になれるわけでもなく、ユウはマオと話しながらゲームをプレイする事にした。
「そういえば芸能界の不祥事見てると元の世界の偉い人たちのことを思い出すよね」
「ああ、人間社会の貴族や王族などの話かの?」
「そうそう。
あの人は裏でどこどこの貴族と浮気してますとか、あそこの夫人は平民の美男子を集めたサロンを持っているとか。
そんなサロンに誘われて僕が行くわけないじゃん」
「何というか……表では清楚な様相を整えながらも裏で欲望に忠実な汚いことをしているのは良くも悪くも人間という気はするがのう」
「それに巻き込もうとしてくるから溜まったもんじゃないけどね。
魔族はその辺どうなの?」
「妾達は良くも悪くも力至上主義じゃったからのう。
欲しければ奪い取れば良い。
そう言った者が多かったのじゃ。
強さこそ全ての社会では強きものの種は人気があったからの。
コソコソせずに堂々とハーレムが形成されておったな」
「へぇ〜やっぱり全然違うんだね……っと、なんか助けたお姫様と城で暮らすバッドエンドになっちゃった。
………あれ?そう言えば社長がこのヒロインは一般人の小学生から募集したって」
「付属の説明書には顔写真に名前と年齢が載っておるが……これはシャレにならんのう」
「何か危ないものを見てる気分になってきたからやめようかな」
「それがええじゃろうて……っと、妾をジーッと見つめてどうしたのじゃ?」
「いや、説明書の女の子達見たけどやっぱりウチのマオが一番だなぁと」
「そうじゃろうよ。
まぁ、今日の晩ご飯は少し豪勢にしてやろう」
「やったー!!」
こうしてゲームは微妙だったユウだが最後は良い思いで1日を締めることが出来たのであった。
このゲームの元ネタは名前出しちゃうと本当に不味いやつです。