ユウ、プライベートでゲームをやる
「社長、これ何?」
ユウがくじよじの事務所に行くと里中の机に幾つかの古いゲームソフトが置いてあった。
「一時期趣味で集めていたゲームね。
ここにあるのは芸能人を起用したソフトなんだけど……不思議なことに結構な人が引退したり犯罪になって捕まったりしてるのよね」
「へぇ〜家に持って帰ってプレイしてみてもいい?」
「いいけど配信には使えないわよ。
プレイした感想を雑談で話すとならいいけど」
「りょーかい。
ネタ的に面白いのはどれかな?」
ユウに問われた里中は悩んだ末に2本のソフトを指さした。
「こっちのソフトのタレントは覚醒剤で何度も捕まってるわね。
その後には覗きや盗撮もやっていたかしら。
ゲームのヒロインが一般人から募集した小学生って言うんだからその片鱗は出ていたのかもしれないわね」
「話のネタとしたは面白いけど確かに配信には出せないね」
「こっちはRPGでそれなりに楽しめるわよ。
これは当時実際にいたアイドルグループに、実在のタレントがマネージャーをやるって話ね。
アイドルグループは1人だけはお騒がせタレントとして芸能界に残ってたわね。
マネージャー役の彼は当時は頭の良いイメージだったんだけど、最近はSNSで誰彼構わず噛みついてて良いイメージが全く無いわ」
「ふーん、じゃあこの二つを借りていくよ」
そうして二つのソフトをユウが持ち帰ったのだけど、里中は机を見てふと気付いてしまった。
「そういえば蝋人形閣下のソフト忘れてたわね」
♢ ♢ ♢
「ただいま〜」
家に帰ってきたユウは早速紅白のゲーム機を取り出してソフトを挿した。
もちろん、ソフトを差し込む前に差し込み口をふーふーする事を忘れない。
「おかえり……なんじゃ、そのソフトは?」
「社長のところから借りてきた。
アイドルのマネージャーする育成ゲームだって」
「ああ、あの人気の……んん?
そんなに古い時代からあったかのう?」
「全然違うゲームだと思うよ。
メインキャラは当時、実在していた芸能人らしいから」
「ふむ……なるほどのう。
横で見ていて良いかの?」
「もちろん」
こうしてゲームを始めたのだったが……
「ええ?アイドルの不満が溜まるとゲームオーバー扱い?」
「敵からセクハラされたりトイレを我慢していると不満度が溜まるみたいじゃの。
トイレに関してはデパートで借りるか紙おむつを使うと良いみたいじゃぞ」
「紙おむつ使うって……結局漏れてない?
敵は……一般人でヨイショして煽ててファンにするのか。
これでアイドルとしての格が上がっていくと」
「システムとしては面白いんじゃがのう。
アイデアにゲーム機のスペックがついてきてない感が凄いのう」
「後はやっぱり白々しい昔のテンプレが目につくかな。
米もってこいってクエストで種柿のお菓子持って来させられるとは思わないよ」
「原材料が米と知っておった妾のナイスアドバイスじゃな」
「とりあえず無茶苦茶なゲームってのは分かったから次のソフトに変えるね」
当時は芸能人や漫画のタイアップ多かったんですよね。
そして、原作が微塵も関係ないというのも少なくなかったので、今回の作品はマシな方です。