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ナコと八起子の上野デート 2

6/1 23:50 243話カバディ回のルールミスをご指摘により修正しました。

ご指摘ありがとうございます。

動物園の中を見て回った2人は最後に入り口近くにあるパンダの所までやってきた。


ある程度時間が経ったせいかパンダの前の人垣は無くなっていた。


「パンダって……意外と黒いんスね」


「あれだけ地面にゴロゴロ転がってたら汚れるのも仕方ないですよ」


そう……生で見るパンダは砂埃だらけで白い毛が黒くなるほどに汚れていた。


流石に元からある黒い毛との区別はつくが、元が白い事を考えるとどれだけ汚れているかよく分かる。


「あっ!?」


「どうしたんスか?」


「今更なんですけどパンダって初めて見たなって」


「今更何を……と言いたい所っスけどよく考えたら自分もっスね」


テレビや漫画・アニメでも多数特集が組まれるほどに人気のあるパンダ。


そうやって自然と映像媒体を通してパンダに触れ合ってきた2人にとって、初めましてとい気分にならなかったのだろう。


衝撃の事実に2人はお互いの顔を見合わせてゲラゲラ笑うのであった。


♢ ♢ ♢


動物園を出てすぐの公園を歩く。


広場には音楽を奏でる若者や大道芸を披露する者。


地面にゴザを敷いて自分の詩集を売る物など夢を追う様々な人達がいる。


そんな一角にたどり着いた時、ナコは徐に背負っていたバッグを下ろした。


「気になってたけど何なんですか、それ?」


「いよいよ見せる時が来たっスね!

ジャーン!」


そう言ってナコが取り出したのはバッグの形と同じ大きさの箱であった。


正面中央部には丸い穴が空いている。


更にシンバルとそれを立てるスタンドまで用意し始めた。


「後はスマホと小型のスピーカーを繋げてっと」


ナコは箱を地面に置いて後ろ側に穴がくるように座る。


更に右側にシンバルスタンドを置いたナコはスーッと息を吐く。


「よし、じゃあやるっスよ!」


「え?何を??」


八起子の疑問には答えずに箱の表面をリズミカルに叩いていくナコ。


箱の上部を叩くと軽やかな音が辺りに響く。


そして、要所要所で箱の中心部を思いっきり叩く。


すると、先程と違い今度は腹に響くような低音が鳴り響く。


「これって初めて見るけど楽器なんですか?」


ひとしきり叩いてデモンストレーションを行ったナコに尋ねる。


「これはカホンという名前のれっきとした楽器っスよ。

路上で使うドラムみたい思ってくれるといいっスね」


次にナコがスマホを操作するとそこから誰もが聞いたことのある名曲が流れ出した。


音色からアコースティックのギターで弾いているのが分かる。


それに合わせるようにナコがカホンを叩いていくと自然と人集りが出来始める。


調子良く数曲叩き、一息入れたところで見物客から拍手が飛ぶ。


八起子もそれに合わせて拍手していたのだが、そんな彼女に対してナコがニヤッと笑った。


「ここの雰囲気も随分と温まってきたから次は一緒に歌ってくれないっスか?」

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