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巫女の東京観光 3

「次は水族館に行くんじゃったかのう?」


「そうなんですよね。

福岡にも有名な水族館があって良く行ってたんですよね。

なので、こちらでも行ってみたいと思っていたんです」


「こっちだと品川とか池袋が有名な気がするけどスカイツリーにも水族館ってあったんだね」


そう言ってスカイツリーを挟んで寿司屋があった場所とは逆方向の建物にやってきた。


「ここは普通の水族館の魚とは別に東京の川に生息している生き物なんかも展示してあるそうですよ。

早速行ってみましょう」


「楽しみだな〜行こう!」


3人がお金を払って中に入ると早速大きな水槽が出迎えてくれた。


青々とした水草が生い茂っており、魚よりも水草を見せるゾーンである。


「水の中にこれだけの草が生い茂ってるのも不思議な感じだね」


「淡水ならではのイメージじゃな。

海水だと昆布やワカメのような海の植物!

と全力でアピールしておるからのう」


「あ、見てください。

そこの方にちっちゃなエビがいますよ!

可愛いですねぇ」


3人がワイワイと話しながら先に進むと薄暗い空間に光を放ちながらゆったりと動く生物が見えた。


「これは……クラゲですね。

色んな種類がいるものですわ」


「うわ〜なんか見てると癒される気分になるね」


「うむ、せかせかと動く事なく己のペースを貫く生き様。

今の現代人に必要なことがクラゲに詰まっておるのかもしれぬ」


更に先に進むと下の階から繋がっている円柱の巨大な水槽が現れた。


「うわ〜大きすぎて何処に何がいるか分からないや」


「しかし、エイなどの目玉はすぐに発見できるのう」


「大きいものから小さなものまで多種多様ですわね」


円柱ゾーンを抜けると横に細長い水槽がいくつも置いてあり、様々な魚たちを見ることが出来たのだが3人は全く同じ水槽に注目した。


砂の中から細長い頭を少し出した生き物が沢山いる。


そう、ご存知チンアナゴである。


「あ!これ知ってる!

チンアナゴでしょ」


「うむ、そうじゃな。

これがチンアナゴか。

初めてみるのう」


ユウとマオの2人がそんな話をしていると巫女が口を押さえて肩を震わせているのが分かった。


「あれ?巫女先輩どうしたの?」


「具合でも悪くなったかの?」


「い、いえ……違うのです。

あまり下ネタを言わないお二人がちんを連呼しているのが面白くって……」


と未だに肩を震わせている巫女を2人は呆れた目で見ていた。


「本当、先輩って雰囲気も見た目も清楚なのに……」


「何故にそう下ネタが好きなのじゃろうな」


しばらく待って落ち着いた巫女とともに今度は長いスロープを使って下に降りていく。


その途中で下を覗き込むと広々とした水槽の中でペンギン達が元気に泳いでいた。


そこで3人は気づいたのだが、円柱に近づいたあたりから奇妙な鳴き声が偶に聞こえていたのは気付いていた。


それはこの水槽の中にいるペンギンの鳴き声だったのである。


「これは求愛の鳴き声なのかもしれませんわね」


「自然界では大事じゃな」


「それにしてもここのペンギンコーナーは凄いね。

みんなが水槽の中で楽しそうに泳いでる」


「ここの一番の売りですからね……あ、私はこれを直に見たかったんですよ」


そう言って巫女が指さしたのは大きなボードであった。


そこにはこの水族館にいるペンギンに飼育員も交えた愛憎渦巻く人物相関図が書かれていた。


巫女はそれを楽しそうに読みつつ写メを撮っていた。


「やっぱりこの先輩……」


「清楚ではないのう」


そんな巫女のことを2人は何処か諦めた目で見守っているのであった。


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