先輩との顔合わせ〜北乃修羅〜
マオが単独配信している中でユウは事務所に来ていた。
今日は次にコラボする先輩との顔合わせがあったからだ。
「おはよーございまーす」
挨拶しながら扉を開ける。
中には里中と唯一の2人がいた。
「おはよう、ユウちゃん」
「おはよう。随分と早く来たわね」
「えへへ〜昨日から楽しみにしてたんだ!
修羅先輩の動画もしっかり確認したからね」
ユウとコラボ予定しているのは北乃修羅
修羅の国と呼ばれる場所から来た鬼の女王という設定の女性である。
普段は丁寧な言葉ながら修羅の国弄りをされると、修羅の国語が出てしまいその乱暴さとのギャップで人気を博している。
「おはようございます」
しばらく待っていると扉が開き女性が入ってきた。
「修羅ちゃん、おはよう」
「おはようございます、修羅さん」
「おはようございます!」
この女性こそが北乃修羅その人である。
Vの立ち絵と見た目は殆ど変わらない。
違いといえば角が無くなってピンクの髪が黒になっているくらいだろう。
北乃修羅の設定180センチほどでは無いにしても170は超えている高身長であり、スタイルの良い格好良い女性という印象を与える。
「あら、貴方がユウちゃん?
本当にVのモデルと全く変わらないのね!
私は北乃修羅よ、よろしくお願いするわ」
修羅はそう言って手を差し伸べる。
「こちらこそよろしくお願いします!」
ユウもそう言って差し出された手を握り固い握手を交わす。
里中と唯はこのやりとりをニヤニヤと見ていた。
実は修羅は少しS気質なところがあり、この握手に力を込めていき痛がったところで離すという悪癖があるのだ。
その目論見通りに力を込めていく・・・いくのだがユウも合わせて力を込めていきビクともしない。
段々とムキになって力を全力で込めていくがユウはニコニコと笑い平然としていた。
ユウとしてはこんなに力一杯握ってくれるなんて嬉しいなぐらいにしか考えてなかった。
修羅はフッと力を抜き手を離す。
「参った、完敗だわ。
こんな小さな身体のどこにそんな力があるのやら」
「だから言ったじゃないの。
本当に異世界から来た勇者だって」
「そん話ほんとんことやったんね?」
真面目に返す里中に驚いて素が出てしまう修羅。
「修羅さん、方言が出ていますよ」
「おっと、いけないいけない。
つい修羅の国の方言が出てしまったわ」
修羅の話を聞いたユウが目を輝かせる。
「え?修羅の国ってほんとうにあるんですか?」
キラキラした目で聞いてくるユウを修羅は思わず抱きしめる。
「こん子ばりあいらしか。
持ち帰ってよか?」
「ダメです!
マオさんとの事を聞いているでしょう。
引き離すと夜中にパニック起こしますよ」
「それなら今度2人で泊まりに来んしゃい。
オフコラボした後はお泊まり会そう。」
「え、いいんですか?」
「よかよか。
うちも楽しみにしとーばい」
そんな2人を呆れた様子で見ている里中。
「まぁ、こうなるとは思っていたわよ。
修羅ちゃんの好みドンピシャだもんね」
「もう方言も止まらないですね。
仕方ないとは思いますが」
波長が合う2人を見ながら今度のオフコラボは修羅が暴走しすぎないか心配になる2人であった。