表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

188/1560

根田踊の調査報告 終

無事に配信を終えた私は帰宅して一息つく。


出掛ける前の意気込みは消し飛び、彼女達の事を偽物だと疑う気持ちはカケラも残っていない。


本物だと分かると彼女達が配信で話していた過去の事も真実だと分かり重みが増してくる。


その結果、私の中では彼女達に対する尊敬の念しか浮かんでこなかった。


「異世界に来て右も左も分からない中で頑張ってる人がいるのに・・・私は登録者数増やすために人の揚げ足取りに行って。

こんなの私が本当にしたかった事とは違う・・・」


今日の配信、最初は怖いこともあったけど2人が受け入れてくれて、リスナーも温かく接してくれて。


リスナーのコメントもササヤッキーも罵詈雑言の嵐である私達ゴシップ配信者が生きていた世界とは全く違っていた。


「どうしてこうなっちゃったのかな?」


そんな落ち込んだ気分ではあるが普段からの癖でパソコンを起動する。


そして自分のチャンネルにログインしたのだが、そこで驚く事が起きていた。


「登録者数が増えてる?」


そう、家を出る前と比べて明らかに分かるほどに登録者数が増えていたのだ。


その名前の殆どはユウマオの放送で見てくれていた人だった。


それは嬉しい事であったがそれ以上の問題も起きている事に気付いた。


あの放送を見たゴシップファンが荒らし活動を行なっていたのだ。


曰く


勇者と魔王なんて設定にぶっ込んでくれると思ったのに期待はずれ


完全に日和ったヘタレ


ゴシップ配信者の風上にも置けない


と散々たる有様であった。


どうしたら良いのかと思考がフリーズしかけたところで、服のポケットから何かが落ちる。


それはくじよじの社長である里中から貰った名刺であった。


「これから大変だと思うけど頑張って。

困ったら連絡してちょうだい」


と里中社長は言って名刺を渡してくれた。


この時のこれからは大変という意味が分からなかった。


しかし、もしもこの事を予見していたとしたら・・・。


私は藁にも縋るつもりで名刺に書かれている番号に電話したのであった。


♢ ♢ ♢


あれから2週間・・・結論から言うと何とかなってしまった。


いや、正確には何も出来なくなってしまったと言ってしまった方がいいのかもしれない。


何故ならば根田踊というVは引退し、チャンネルが無くなってしまったからだ。


ユウマオから来てくれた人達はそれを悲しみ、荒らしを行なっていた者達は自分たちの正義が勝ったと大騒ぎだった。


しかし、その多くの者達は過剰すぎる荒らし行為を通報されるに至っている。


ユウマオ配信のファンの方達は残念だと口にしながらも元のユウマオという枠に帰っていった。


そして肝心の私はというと


「は、初めまして!

今日からくじよじでデビューします七転八起子(ななころびやおこ)です。

色々と失敗してきた人生ですが、8度目に起きて成功する為に頑張ります。

応援してくださいね!」


くじよじの新人V、七転八起子としてデビューしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ