根田踊の調査報告 1
私の名前は根田踊。
個人でV活動をしているのだが、一年以上やっているにも関わらず泣かず飛ばすの最底辺配信者をやっている。
そんな中で知り合いのVがある日突然話題になりチャンネル登録者数を増やした。
その理由は炎上した箱活動をしているVをある事ない事茶化した配信をした事だった。
最終的にはやりすぎてBANを喰らってしまっていたのだが、私が目標にしている1万人の登録者をあっという間に超えてしまったのは衝撃的だった。
それと同時に私にもこの方向性しかないと考えたのだがBANされてしまっては意味がない。
そこで当たり障りのないスキャンダルを嘘と言われない程度の独自の見解を交えて茶化していたのだがどうにも上手くいかない。
どうすればBANされずにウケの良いスキャンダルネタを提供できるのか?
考えに考え抜いて本当のスキャンダルをスッパ抜けば良いのでは無いかと考えた。
そこで何かいい獲物はいないかと探したらとても良い獲物が見つかった。
くじよじ所属の自称異世界から来た勇者と魔王。
普通のV配信者はこのような設定はすぐに崩れ去るのだが、1年以上経った今もキャラクターを崩していない。
リスナーも段々と本当に異世界から来たという扱いをし、オフコラボを行った配信者もあたかも本物であるかのように合わせている。
この2人の正体を暴き、すっぱ抜いて動画にすれば大きな反響を呼ぶに違いない。
そう考えた私は彼女達の代表的な企画にゲストで呼んで欲しいと猛プッシュを行った。
今までは箱活動している配信者にコラボ依頼など畏れ多くてできなかったが、この企画には私の今後の未来がかかっているのだ。
最初は断られても諦めずに何度も送れば一回くらいはOKを出して貰えるかもしれないと思っていたのだが、あっさりと了承の返事を貰った。
私は思いがけない幸運に浮かれていたのだが、冷静になって気づくべきだったのだ。
何故こんなスキャンダルネタを扱っている最底辺VとのコラボにあっさりOKが出たのかを・・・。
♢ ♢ ♢
当日の朝、私はくじよじの会社に向かっていた。
普段は家で配信しているのだが、外部・・・それも個人でやっている私にプライバシーである自宅の場所は教えられないそうだ。
「まぁ、それは最もだよね。
すぅ、はぁ、よし行くぞ!」
私はドアの前で数度深呼吸をするとノックして扉を開く。
「失礼します!
本日コラボさせて頂きます根田踊です。
今日は無理なお願いを聞いて頂きありがとうございます」
部屋に入ってドアを閉めてから深々と一礼する。
すると私の前から聞き覚えのある声がした。
「いらっしゃい!
今日のコラボ楽しみにしてたよ。
よろしくね」
「妾もじゃよ。
今日は良い配信にしようではないか」
この声は紛れもなく自称勇者と魔王の声だ!
バーチャルは絶世の美少女の2人であるが果たして現実はどうなのか?
魔王なんて見た目は子供だが晩酌配信なんてやっているのだから下手したらオバさんが出てくるのではないか?
逸る気持ちを抑えながら顔を上げた私の眼に飛び込んできたのは・・・
「え?うそ!?」
まるで2次元の世界から3次元の世界に現れたかのようにモデルとそっくりな2人の姿であった。
お分かりだと思いますが名前の由来はネタを盗るです。




