初めてのファッション 〜過去編7〜
過去編のナンバリングのズレを直して過去視点から過去編に統一しました。
ようやく辿り着いた服屋。
店内に入ると色とりどりの服が置いてある。
「すごーい!こんなに沢山の服があるなんて王都でも見たことがないよ」
「これは圧巻じゃのう」
2人はその広さと物量に圧倒されていた。
それはそうであろう。
片方は服を買うといえば防具屋。
もう片方は年がら年中同じ服を着ている魔王様である。
「うーん、先ずはサイズを測ってもらったほうがいいわね」
里中は近くにいた店員を呼び止め、訳あって服を一から全て買い直さなければいけなくなったのでサイズを測ってほしいとお願いする。
そしてジャージを脱がせて気がついたのだが、ユウは胸にさらしを巻いていた。
それで潰していたために今まで無いように見えていたのだ。
「なんてことなの・・・3人で仲間だと思っていたのに裏切られた気分だわ」
こうして2人の測定を終えて服を選ぶ。
下着はまた別に専門店で選ぶつもりだ。
2人に任せてみるとユウは何故か男の子のコーナーから服を持ってきていた。
マオに至っては黒一色である。
「これは流石に・・・それにユウちゃんはどうして男の子の服を持ってきたの?」
「前の世界では常に男の子の服を着させられてそれが当たり前だったからかな?
お城のパーティーでも騎士服とかしか用意されてなかったから」
「ああ、なんか向こうの世界の闇が垣間見えるエピソードだわ。
マオちゃんは何でこう同じ黒い服ばかり・・・って魔王の服に合わせた感じか」
「うむ、服装など分からんからのう」
2人の答えにため息をつく唯。
事情は分からないが先ほど計測してもらった店員も見兼ねたのか声をかけてきた。
「もし宜しければお2人に似合いそうなコーデをさせてもらってもよろしいでしょうか?」
「ええ、お願いします。
しかし、お仕事の方は大丈夫なんですか?」
「ええ!これも仕事のうちですから。
それにこんな極上の素材を着せ替えられるなら本望ですよ」
店員はそう言って張り切って服を用意し始めた。
「こちらの黒髪のお嬢さんは先ほどの服選びから活発なご様子なので、いっそ大胆にお腹を出した半袖シャツにホットパンツはどうでしょうか?
ホットパンツは肩がけのベルトで固定して、腰巻のベルトは飾りにしましょう。
基本はこの姿で上に色々組み合わせたり、ソックスを変えることで印象を変えれますよ」
「あ、これ動きやすくていいかも?
それに可愛いっていう感覚も何か分かる気がする」
「ユウちゃんはお腹を見せたりとか抵抗はないの?」
「うん。前の世界だと殆ど裸見たいな鎧着てるお姉さんもいたから」
ユウの言葉に唯はピンと来てしまった。
(ビキニアーマー、本当にあるのね)
「次はこちらの白髪のお嬢さんですね。
うーん、ピンクのシャツに赤いスカートで普通に良さそうな気がますね。
素材が際立っているので無理して奇抜な格好はしない方がいいかも・・・」
悩む店員さんに唯が声をかける。
「あの、この子理由があって頭に何か被せておきたいんです。
そういうファッション無いですかね?」
「それならば良いものがありますよ!」
と、店員が奥から取り出してきたのは紺色のフード付きケープであった。
更にフードには猫耳が出っ張ったようなデザインになっていた。
「いや〜あざと過ぎてどうかと思っていたのですが、お嬢さんならきっと似合うと思いますよ!」
そう言って試着したマオが出てくると店員と唯は顔を合わせる。
そして無言でハイタッチをするのであった。
事情は知らない。
今日初めて会った2人。
だが、この瞬間の2人は誰よりも通じ合っていたことだろう。
その後も4人でワイワイと楽しみながら服を買い込んでいく。
そして下着も無事に買い終わり、意気揚々と事務所に帰っていくのであった。
作者はファッションには詳しく無いので伝わるかどうかは自身がありません。