シールという宝物
ボウリングを終えた彼女たち系列のゲームセンターのサービス品を貰ったので寄っていくことにした。
「いろいろ貰っちゃったからね。
先ずはクレーンゲームの無料券からかな」
「そうじゃな。
ルーナは何か気になる景品があるかのう?」
「えーっと・・・」
ルーナがキョロキョロと辺りを見回す。
クレーンゲームの中には様々なキャラクターのグッズが入っている。
そんな中で彼女が選んだものは
「盆栽フィギュア?」
「またマニアックなものがあったもんじゃ」
「友人の神様の所に置いてあって気になってたんですよね。
これ欲しいです!」
「これはお婆ちゃん呼びが減りそうに無いのう」
「まぁ、本人が欲しいっていうからいいじゃないの。
よーし、僕がとってあげるよ」
ユウはそう言って台を左右から確認して動かす。
アームはここしか無いというポイントに止まり、狙い通りに商品の隙間を上手く掴んだ。
「はい、これどうぞ」
「ありがとうございます、ユウ。
深い感謝を」
喜んでいるルーナの横でユウは貰ったクーポンを確認する。
「後はプリクラとメダルかな。
先ずはプリクラをしていこったか」
「プリクラですか?」
「写真を撮る機械じゃな。
撮った写真はシールに加工されて出てくるのじゃ。
撮った写真に色々と細工も出来るぞ」
「写真に細工って自分を偽ってるみたいですね」
「細かいことは気にしなくていいよ。
とりあえずやってみよう」
プリクラコーナーにやってきた3人だが、やはりルーナは物珍しさでキョロキョロしている。
「たくさんの種類がありますね」
「機械によって出来る細工が違うんだよ。
でも、私たちは無料だから使えるのはコレだけだね」
ユウがその場にある機械で一番古いものを指さした。
「これでも十分じゃろうて」
3人で機械の中に入り、貰ったメダルをセットする。
すると機械はお金を入れた時と同じように動き出した。
機械は彼女達に様々なポーズを指定してくる。
「こ、これは中々恥ずかしいですね」
「僕達配信っていうもっと度胸のいる事をしてるんだから」
「そうそう、こういう時は頭を空っぽにしてバカになった方が楽しくて得するのじゃ」
最初は恥ずかしがっていたルーナであるが2人の言葉に吹っ切れたのか、後半はノリノリでポージングをしていた。
その姿は女神やお婆ちゃんと言われるものではなく、見た目通りの女性のようであった。
「最後は写真にメッセージを入れたりスタンプを付けたりするんだ」
「それぞれ撮った写真に細工をしてみるかの」
「なるほど、そういう事も出来るんですね」
3人が写真に手を加え終わり、台の横にある排出口に移動する。
ユウはそこから出てきたプリクラを手に取るとルーナに渡した。
「はい、これはルーナが持っていっていいよ」
「え?いいんですか?」
「今日の主役はお主じゃからな」
「ありがとうございます!
大切にしますね」
ルーナは愛おしそうに完成したプリクラを胸元に持っていく。
「友達の神様に見せたりするのはいいけど、くれぐれも配信で出しちゃダメだよ」
「妾達はあまり変わらないとはいえ中を見せるのはご法度じゃからのう」
「私も配信者の端くれなのですから分かってますよ。
お二人ともまだ時間はありますよね?」
「うん、あるけどどうしたの?」
「私、行ってみたい所があったので是非付き合ってください!」
そう言ってルーナは2人の手を取って歩を進める。
「なんじゃなんじゃ、急に積極的になったのう」
「マオが言ったんですよ。
どうせなら楽しんだほうがいいって」
「そういう事なら責任を取らんとの。
ほれ、ユウも今日はとことん楽しむのじゃ」
「オッケー!
こうなったら満足するまでしっかり付き合うよ」
こうして3人は1日中遊び回ったのであった。
予定していた配信時間が迫っているのに気付いて慌てて帰宅したのもいい思い出であろう。




