大切なお知らせ
「急にこんなこと頼んじゃってごめんね」
「少しだけ留守を頼むのじゃ」
「おふたりがいなくなるのは寂しいです。
でも、帰ってくるのを待っていますね」
ある日のこと、ユウとマオは隣人である響子に頼み事をしていた。
それは自分たちの留守の間、自分たちが住んでいた部屋の様子を定期的に見てほしいということであった。
その為に、部屋の鍵も既に響子に預けてある。
そう……今日、この日に彼女たちは暫くこの家を……いや、この世界を留守にする事にしたのだ。
とは言っても元の世界に帰るわけではない。
ほんの少しだけ刺激を求める為、ルーナの力を借りて異なる世界を巡りたくなったのであった。
その事を里中に話した時は随分と引き留められたものである。
だが、くじよじはユウ達がデビューしてからも多数の新人を輩出しており、今も新たな新人達がデビューする準備するための準備を整えていた。
ユウとマオの2人が暫く休んだところで、会社が傾くような事もないだろう。
配信の方でも2人で黒塗りの画面に、白い文字で大きく大切なお知らせとと書かれたサムネと共に、配信活動休止のお知らせは行なっていた。
そのサムネを見たリスナー達は、卒業の覚悟まで決めてその配信に臨んだ訳だが、ユウとマオは卒業の件はキッパリと否定。
少し長めの休養になるかもしれないが、必ず戻ってくる事を約束してくれた事でリスナー達は少しだけ安堵していたのだった。
「本当に良かったんですか?」
2人が旅立つ為のゲートを作りながら、最後の確認をするルーナ。
「大丈夫だよ、コレが今生の別れって訳でもないし」
「妾達は必ず帰ってくるからのう。
この世界へ戻る道標は任せて良いのじゃろう?」
「勿論ですよ。
どんな場所にいようとも必ずこの世界に連れ戻しますから」
「じゃあ、全く何の心配もないよ」
「うむ、お主ならば信頼できるからのう」
こうして2人はゲートを潜り、その姿を消し……だと思いきや、その穴の中から少しだけ顔を出してこちらを覗き込んでいた。
「ここまで見てくれていた皆んなも本当にありがとう。
毎日の配信に付き合ってくれて本当に嬉しかったよ」
「妾達の物語はここで一旦はおしまいじゃ。
じゃが、また会う事もあるであろう」
「だから、また会える日を願って最後はいつもの挨拶で締めさせてもらうね」
「画面の皆も一緒にコールするのじゃぞ」
『それじゃ、せーので……おつかれ〜!!」
4年ほど、毎日更新し続けた物語も一旦はここでおしまいとさせて頂きます。
400万のPVを目処に終了を考えており、今回の達成を良い機会に決断した次第でございます。
この作品は自分の中で初めて手応えを強く感じた作品であり、多くの方に読んで頂いた事に感謝の念が絶えません。
しかし、一方で日常系の毎日連載によるネタの枯渇からくる、やる気の低下が著しかったこと。
この作品に時間を取られて新しい作品を生み出せない事などから終了させる事を決意しました。
まだまだ2人の活躍を見ていたかったファンの方には申し訳ないと思っております。
しかし、今回のエピソードで彼女たちはあらゆる世界にゲストとして現れることが出来るようになったため、私の作品を今後も読んでいただけるならばまた2人に会うことはあるかと思います。
今後書くであろう新しい作品でも皆様にお会いできる事を願いつつ、作者も2人の言葉を借りてお別れの挨拶とさせていただきたいと思います。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございました……おつかれ〜。




