夢の国は人でいっぱい 4
ショーの観劇をお金の力で成し遂げた三人。
終わった頃には既に18時前となっており、辺りは完全に暗くなっていた。
「次はどこに行くかのう」
「あの……私、折角ならキャラクターに会いに行きたいです」
「いいじゃん!
それなら行ったことがない所に行ってみようよ」
キャラクターのグリーティングは全部で四箇所。
その中でアヒルのカップルが同じ場所でグリーティングを行っていることが分かったので、そちらの方に行ってみることにした。
特に女の子のアヒルの方は待ち時間も20分程度と短い。
グリーティングは閉まるのが早く、19時過ぎには終わってしまうので、ギリギリの時間に行く三人には、この短さはありがたかったのである。
豪華客船のアトラクションを正面にして、左に突き進んでいくと目的の場所が見つかった。
入り口で男の子と女の子のキャラクターの列に分かれるのだが、やはり男の子は人気で40分と倍の待ち時間が発生していたのである。
「やっぱりこっちだよね。
僕たちも会ったことないし」
「王様と王妃様、それにアヒルの男の子は会ったはずじゃからな。
とても楽しみじゃ」
「実はこの子とても好きなんですよね」
「意外かどうか分からないけど女性人気高いよね」
女の子のアヒルはショーにも出てくることが多く、ネズミの王妃様と違って格好良い女性像を押し出した動きをすることが多い。
そのために女性達からの人気もとても高いのである。
話しているとすぐに部屋の中へ案内される。
そこではユウ達の前にいた女性がキャラクターからの手厚い歓待を受けていた。
その女性はツーショットを撮るというスタッフの提案を断り、アヒルちゃんをモデルに写真を撮りたいと申し出ていた。
それを了承したアヒルちゃんはカメラの前でポーズを取り、更にムービー撮影では可愛いダンスからカメラマンの女性に近づいていくというサービスまで見せた。
その女性は感極まって涙を流し、お礼を言って退出していくのであった。
「なんか、すごい熱量だったね」
「妾達、あそこまでの熱量はないのじゃが……大丈夫じゃよな?」
「き、きっと大丈夫ですよ!」
恐る恐る案内に従った三人だが、やはり向こうはプロであり、結果的には何の問題もなかった。
ただ、スタッフが撮ってくれた写真に写っていた三人の動きはややぎこちなかったのであった。