夢の国は人でいっぱい 2
3人はとりあえずは昔で言うところのファストパス……使い捨てで並ばずに乗れる限定バスの取得をする事にする。
とは言え、お昼からやって来た時点で人気アトラクションのパスはどれも終わっており、残っているのは宇宙戦争ぐらいであったが。
その宇宙戦争も普段は10分程度の待ち時間が、倍の20分ある辺り、どれほどの人が来ているかは推して知るべきであろう。
「いま調べたんですけど、今日は埼玉県民の日とかで休みの学校があるみたいですね」
「学生がそこそこいると思ったらそう言うこと?」
「明日は茨城県民の日らしいぞ」
客が多い理由は旅行客だけでは無かったようであった。
そのまま3人はアトラクションを楽しんだのだが、とりあえず一度落ち着こうと言うことで食事をすることにした。
どこも混んでいるのであれば多少の待ち時間は仕方ないとし、入り口のアーケード街にある和風レストランへとやって来た三人。
店員から待ち時間は40分と告げられたのだが、それくらいなら話していればあっという間に過ぎるかと並び始める辺り、三人の感覚もバグっていたのだろう。
しかし、予想通りに時間はすぐに過ぎていき、2階へと案内される。
そして、店員さんに今から案内する席の場所は冬の間と呼ばれる場所であり、席によって春夏秋冬の間が用意されているとのことであった。
壁の飾り付けや絨毯の模様、さらには部屋を照らす明かりまでもその季節にこだわった作りになっているそうだ。
天麩羅や海鮮が中心となった和食メニュー。
其々に好みの食事を注文し、会話をしながら食事の手を進めていく。
食べ終わった後ものんびり話していたのだが、ふと気がつくと時刻は午後3時となっていた。
三人がやって来たのは12時なので、アトラクションひとつと食事だけで3時間過ぎた計算となる。
「いや〜のんびりしちゃったね。
折角だからショーの抽選受けてみようか」
「うむ、2種類の両方とも応募してみるにしよう」
こうしてアプリで読み込んだチケットから抽選を受けたのだが、普段は運の強いユウの力を持ってしても残念ながら外れてしまった。
「前みたいに並びます?」
「いや、どうも完全抽選になっちゃって、並びの枠はやってないみたいなんだよね」
「とは言え諦めきれんのう……どうやら裏技を使う時が来たらしい」
「う、裏技ですか」
ニヤリと邪悪な笑みを浮かべるマオに若干引いてしまう響子。
彼女が口にした裏技とは?