夢の国は人でいっぱい 1
「うへぇ……これ、マジ?」
「目の前に見えている光景はマジであろうよ。
……今日はのんびり楽しむしかあるまいて。
響子は大丈夫そうかのう?」
「お二人と一緒なら私は楽しいので大丈夫ですよ」
ユウとマオ、それに隣人の響子を加えた3人は目の前の光景に唖然としていた。
本日は人が少ないという予想であったのだが、周りには溢れんばかりの人、人、人。
「これじゃ夢の国じゃ無くて人の国だぁ」
「いや、元から人の国であろうよ」
「なんというか……ボケとツッコミもキレが無いですね」
3人がやって来ていたのは舞浜にある夢の国。
久しぶりに行ってみようということでやって来たのは良かったものの、想像を超える人の数に開幕からテンションダウンしていたのである。
というのも、元々この日は予想ではもっと少なく落ち着いている予想であった。
ハロウィンのイベントが終わり、クリスマスのイベントが始まる間の何もイベントが行われていない期間。
最近ではチケットの値段も上がっているので、どうせ遊びに行くのであれば、イベントのある期間に集中するだろうと思われたのだが……蓋を開けてみればこの惨状では、出だしから辟易するのも仕方ないことであろう。
「何だろう……みんな同じ考えだったってことかな?」
「後は海外から来ている客であろうかな?
彼らにはイベントのあるなしを選んでいる余裕はないであろうしのう」
「今調べたら、新しい期間限定グッズの販売がされているようですね。
それ目当てのお客さんも多いのでは?」
「あ〜グッズの販売まではチェック出来てなかったなぁ」
「それを本当に欲しくて来ているのであれば良いのじゃが……転売屋も多そうじゃのう」
「それこそ先ほど話していた外国人客などにも多そうですよね。
最近でもそういう話がありませんでしたか?」
「確かになんか聞いたなぁ……ああ、これかな?」
そう言ってユウがポチポチと調べて出した動画。
そこには仕事を選ばないことで有名な猫の姐さんの記念展があったのだが、並び方から移動の仕方まで、近くの国の人間がルール無視で詰めかけている様子が撮影されていたのであった。
彼等はグッズを買い漁って本国へ転売するために訪れており、本当に好きでルールも守っていた客がグッズを買えないという事態に陥ったのである。
「これは炎上しても仕方ないのう。
夢の国ではそういうことはないであろうが……まぁ、気長に楽しむとするかの」
「そうですね。
偶にはこういうこともありますよ」
人が多いのなら多い時の戦い方がある。
3人は気を取り直して今日という日を楽しむことにしたのであった。
13日に行って来たレポみたいな物語です。




