雨が多いですね
「ぬぬ……酒が……酒が無いではないか」
ある日の午後、配信を終えたマオが一息つけようと冷蔵庫を開けたところ、金色のシュワシュワするお酒の缶が一本も入っていなかった。
「あれ、切れてた?
昨日一緒に買っておけば良かったね。
まぁ、今日はまだまだ時間に余裕あるから買いに行く?」
「そうするとしようかのう」
こうしてまたもや買い物に行く事を決めた二人。
流石にお酒を買いに行くという事になると子供の姿では良くないので、マオは本来の姿である大人の姿へと変化した。
そうして昨夜と同じように簡単なお出かけ服へと着替えて外に出たのだが……扉を開けた瞬間に見えてきた外の様子に、これまた同じように一旦家の中へと戻っていたのであった。
「まさかこのタイミングで雨が降るなんてねぇ」
「今年は異常に雨が多くないか?」
「1週間に2、3日は降ってる印象かも」
普段は家に引きこもって配信業に営んでいるのでそこまで意識していたわけではないが、それでもリスナーからのコメントで雨をお知らせするものが多かった気はするし、洗濯物を干せないという機会も多かった。
ユウが語る通りに、マオも1週間の間に雨が降らなかった週というのは稀であったように感じていた。
「とりあえず防護魔法をかけておこうかのう」
「ありがとう」
マオが二人に簡単な防護魔法をかける。
この魔法は身体の表面に魔力の結界を張る事で、雨で身体が濡れるのを防ぐことが出来るのだ。
だからといって、この状態でそのまま外に出て濡れていないのはあまりに不自然であるため、偽装のために傘は持って行くのだが。
足元が濡れるという事を防ぐだけでも重宝する魔法である。
「うわ、風も強いや」
「今年は異常気象と言われても仕方ないのう。
台風が来ているわけでもないのに、台風並みの大雨に暴風が頻発するのじゃからな」
「風だけとか雨だけならいいけど、合わさると本当に最悪だね」
「うむ、傘が風に持っていかれないように気をつけねばな」
こうして二人は風に対抗するように傘の向きを上手く調節しながらスーパーへと向かっていったのであった。
買い物を終える頃には更に雨足は強くなり、雨による気温の低下は寒さを加速させて行く。
家に帰ってきた二人は寒さに震える身体を温める為に直ぐに風呂の準備をし、時間も勿体無いので一緒に入って温まったのであった。
寒さに加えて頻繁に雨も降っているので、身体には十分にお気をつけください。