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ハロウィンの日 1

ハロウィン……日本ではコスプレをして浮かれているお祭り。


そんな浮かれる人々をじっと見つめる二つの影があった。


「やっぱり適性のある人間がいるようには見えないっすよ」


「これだけ人がいるなら1人くらいはと思ったんだがな」


男達が物色している人の群れの中にお眼鏡に適うものはいないらしく、2人ともに浮かない表情であった。


「あの〜お兄さん達ってどこのお店の人ですか?」


「私達、飲む場所探してるんですよ」


そんな2人の男に話しかける女の子も2人。


彼女達は仮装というにはやや派手で露出の高い格好をしており、明らかにハロウィンの雰囲気に飲まれて火遊びをしたいという空気感を出していた。


そんな2人の女性が、派手な頭にチャラついた雰囲気のイケメン2人を、ホストと間違えて声をかけたのもある意味必然と言えるだろう。


「は、え、お店ってどういうことっすか先輩?」


「あ〜いいからお前は黙ってろ。

……こほん。

ごめんね〜俺たちそういうお店とかの人間じゃないんだ。

だから、遊ぶなら別の人に……」


しておいてと言おうとしたが言葉が止まる。


話しかけてきた女性2人の後ろ。


彼らが求めている素質以上のものを持った人物が通ったからであった。


「うおおお、先輩!

俺、行ってくるっすよ!!」


「あ、待て!!」


後輩がダッシュで通りがかった人物を追いかけ、先輩もその後に続く。


「は、何だよ。

イケメンかと思ったのに、ただのロリコンかよ」


「あんなやつらいいから別のやつを探そうよ」


急に取り残された形になった女性2人は、彼らが追いかけていった人物を見て悪態をつく。


そうして、再び喧騒の中へと消えていくのであった。


「ねぇ、そこのお姉さん達!

俺たちと遊ばない?」


テンプレの言葉をかけつつ、瞳から魅了効果のある視線を送る後輩。


どんなに下手な誘い文句であろうが、この視線を浴びた女性達はすぐにメロメロになっている……筈であった。


「ふーん、それってナンパのつもり?

ベタ過ぎて乗る気になれないんだけど」


「もう少し言葉にバリーションを持たせるべきでは無いかのう?」


「あ、あれ?」


後輩の言葉に振り返った2人だが、全く心を動かされたようには見えない。


それどころか、つまらなそうな顔で後輩を見返してきた。


「お前、明らかにこいつらはヤバいだろ!?」


そこに何とか追いついた先輩が後輩の肩を掴む。


「あ、せんぱーい」


だが、そうして振り返った後輩の目には既に正気の色が失われていた。


「あ、やっぱりそういう力量みたいなのは分かるんだ」


「じゃが、のこのこ出てきてしまってのは運の尽きじゃったのう」


「え、あ、しまっ……」


気が付いたときにはもう遅かった。


ツノと尻尾が生えた仮装をした少女の瞳を見てしまった先輩。


彼は後輩と同じように正気を失った目でその場に立ち尽くしてしまうのであった。


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