ナコの洋楽話 2
「他にはどんな音楽をやったのじゃ?」
「えーっと、往年の名曲だと『Englishman In New York』とか『Change The World』ですね。
後は、ここまでが男性曲ばかりなので、女性アーティストの曲としてテイラー・スウィフトの『Shake It Off』や、『We Are Never Ever Getting Back Together』なんかも歌わせてもらいましたよ」
「最後の曲は男女が共同生活するリアリティ番組のオープニングで使われていたから、一部の人は知っていたっスね。
まぁ、聞いたことがある程度の反応だったっスけど」
日本にも輸入されて、一時期は話題となった人気番組のオープニングテーマだったために聞いたことがある人もいたようであった。
だが、それでも洋楽の知名度が圧倒的に低いとナコは嘆く。
「年齢層で綺麗に分かれるんですけどね。
私たちのリスナーって若い人たちが多いんですけど、若ければ若いほどに洋楽に興味を示さない気がしますね」
「逆に数少ない年配の方はそれなりに知っている印象はあるっスね」
「時代背景かのう……昔、三国教授に聞いたことがあるのじゃが、昭和の世代の人たちはアメリカ文化に憧れを持っていたそうじゃ。
その為に、海外のスターが来日するとなれば大騒ぎで大歓迎ムードになっておったそうじゃし、当時流行っていた喫茶店では洋楽の有線が流れていたようじゃな」
当時の日本はまだ大きく発展する前の状態である。
そこから輸入されてきた優れたアメリカの文化は、たちまちに日本の若者を魅了し、それを取り入れているものこそが最先端であり、オシャレである……そのような認識であった。
「逆に今は日本文化が優れて、海外から羨ましがれる状況になってますからね……主にアニメですけど」
「人気アニメに使われたオープニングの再生回数の上がり方を見ればよく分かるからのう。
国内の音楽のレベルが上がっておって、それで満たされているのであれば海外に目を向ける必要はない訳じゃな」
「英語…….ぶっちゃけ分かりませんしね」
「だから、それを何とかしたいんですよ!」
しょうがないよねといった感じでマオと八起子が語るのだが、ナコとしてはそれを打破したいという話であり、その結論で収まるわけもない話であった。
「あれ、みんなで集まって何してるの?」
3人がうんうんと悩んでいるところにやってきたのは、今し方配信を終えたばかりのユウであった。
私もその時代の生まれではありませんが、当時はあまりにも向こうの文化にかぶれた結果、学校でエレキ禁止などの校則が出来た……なんていう話もありました。