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初めてのシャワーと共依存〜過去編5〜

「今日は遅いからここに泊まっていきなさいな」


里中の提案で二人は事務所に泊まることになった。


タレントが利用する事務所ということで簡易的だが休める場所やシャワールームなども付いているので泊めるには問題がないだろう。


ホテルという手も考えないではなかったがこの世界の常識がない二人を目の届かない場所に置くのは不安だったし、服装もそのままであるので怪しいことこの上ない。


また、2人の話を聞いた里中には一つの懸念があったためにそれも確認しておかなければならなかった。


シャワールームの説明をしてから2人の着替えを用意する。


ここで偶に寝泊まりするタレントが置きっ放しにしているパジャマがあるので問題はない。


「こんな簡単にお湯が出るとか凄い!」


「このボディーソープとやらは気持ち良いの」


シャワールームではしゃぐ二人に着替えとタオルを置いたことを伝えて、仮眠室の用意をする。


「うわ〜この服すごくあったかくて気持ちいい」


「妾の城でもこのように上等な衣類はなかったのぅ」


パジャマに着替えてシャワールームから出てくる二人。


「それじゃ其々寝る場所を用意したから今日はお休みなさいな。

ずっと一緒だったから偶には一人になる時間も欲しいんじゃないの?」


「そうだね!

次元の壁に入ってから離れるのは初めてだけど偶には良いよね」


「そうじゃの。

偶には一人で寛ぐのも悪くなかろう」


2人はそう言って各々の部屋に入っていった。


(私の考えすぎだったのかしら?

まぁ、とりあえずは様子見ね)


そうして里中が机に向かってしばらく仕事をしていると・・・


『わあああああああ!!』


と両方の部屋から叫び声が聞こえた。


どちらも気になるがとりあえず手近なユウの部屋に入った。



「どうしたの!?」


里中が部屋の中に入るとユウは必死に何かを探していた。


「一体なにがあったの?」


「マオが・・・マオがいなくなってる・・・」


ユウは里中のことが目に写っていないかのようにひたすらにマオを探していた。


しょうがないのでマオの部屋に行くとマオも同じように何かを探していた。


「ユウ・・・ユウはどこじゃ?

妾を置いていってしもうたのか?」


こちらも完全にパニックになっていた。


(やっぱりこうなるのね。

予想していたより酷い状態だけど)



「マオちゃん、ごめんね」


里中はそう言ってマオを抱き上げるが、マオはオロオロとユウの名前を呼ぶのみで全く抵抗しない。


里中がマオをユウの部屋に連れて行くと2人はすぐに自分たちの存在に気づいた。


「わあああ〜マオ〜」


「おお〜ユウよ〜」


2人は抱き合って泣き出し、そのうちに疲れ果ててそのまま寝てしまった。


(お互いが離れないようにがっつりと抱きとめて眠ってる。

次元の壁とやらでどれだけの時間を過ごしたのか分からないけど、ずっと2人で支え合って心の隙間をお互いで埋め尽くしたんでしょうね。

一般的には共依存と呼ばれる状態なんでしょうけど、そんな言葉で済ませられない程にお互いが必要としてるってわけね)


「やっぱり住む場所は二人一緒にするべきでしょうね」


眠る2人に毛布をかけながら里中はそう呟いたのだった。



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