お出かけデート 〜正月飾り編〜
お互いに防寒具のプレゼントを交換したので折角だから街に出ようという事で2人で街に出かける。
昨日まではクリスマスだった街の雰囲気は一気に変わり、浮かれた明るい雰囲気から新年を迎える厳かな雰囲気へと変貌していた。
「わずか一日でこのように変化するとは・・・この国は目まぐるしいのう」
「本当だよね。
でも、なんかこの音楽とか笛の音色とか身が引き締まる感じするよ」
「うむ、そうじゃな。
この国のものにとって新年を迎えるという行事はそれだけ大事なのじゃろう」
街に出ると何やら奇妙な飾り物を売っている露店を見かけた。
「おう、らっしゃい!
・・・って異人さんかい?
これに興味があるのか?」
2人が見物していると店の店主が声をかけてきた。
「うん。
僕たちこの国に来て初めて新年迎えるんだ」
「それで変わったものを見かけてのう。
気になって見物させてもらっていたのじゃ」
「その割には随分と日本語が上手かったり変わった喋り方だったりするな。
・・・あれか!?
日本の漫画やアニメを見て育ってこっちに来ちゃったってやつか?」
閃いたとばかりに顔を輝かせる店主に2人は頷く事にした。
「そ、そうそう。実はそうなんだよ!
日本の漫画やアニメって面白いよね」
「妾も好きなキャラクターがこういう喋り方をしていたもので移ってしまったのじゃ」
「ははは、ならしょうがないな。
今は暇だし折角だから説明してやるよ」
「おお〜おじさん、ありがとう!」
「感謝するのじゃ」
店主はそう言うとまずは松の飾りの前に移動した。
「こいつは門松。
入り口の前に飾るもので見ての通りに冬でも枯れない緑色が特徴だ。
ここから繁栄や生命力の象徴として縁起物になっているわけだな」
「確かに冬って大抵の植物枯れてるよね」
「こやつは元気な色をしておるのう」
次に店主は縛った縄を見せる。
「こいつは注連飾りだ。
これを玄関に飾る事で家の中を神社と同じ神様を迎え入れる神聖なものするって意味合いだな。
漫画風に言うと何というか・・・ああ!
結界を張るってやつだな!」
「へぇ〜これを玄関に飾ると結界を張れるんだ」
「ウチの女神様は場を整えなくても平然とした顔でやってくるがのう」
「他にも・・・」
こうして2人は店主から正月飾りの説明を受けるだけで1日の多くの時間を使った。
しかし、長い時間話を聞いてくれた店主は気をよくして2人に注連飾りをサービスだと言って一つくれた。
家に帰ってから早速注連飾りを取り付けて今夜の配信の準備をする2人であった。
〜オマケ〜
「おう、いま帰ったぞ!」
「あなた、お帰りなさい。
ほら、タダシもお父さん帰ってきたんだから挨拶ぐらいしたらどうなの?」
「いま好きな動画配信見てて忙しいから!」
「なんだ、またVなんちゃらなんて見てるのか・・・おっ、この2人は知ってるな」
「え?父さんVなんて知ってたの?
「いや、今日客で来た2人にそっくりなんだよな。
喋り方も似てるし・・・この2人って日本人じゃないんだろ?」
「え、あ、そうだけど・・・え?
そんなにそっくりな人が来たの?」
「おうよ!
そうだ、確かお互いにユウとマオって呼び合ってたな・・・ずっと手を繋いで仲よさそうにしてたぞ」
「ええ?ユウとマオ?
まさか本物?」
「まぁ、折角知り合った子に似てる縁もあるし俺も横で見てみるかな」
「ああ、じゃあ父さんも見てみたら」
こうして本人達の知らないところでリスナーが増えていたりして・・・。