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勇者と魔王の戦い〜一年間の因縁〜

「うおおおおお!勝負だ、魔王!!」


「ふははははは!我と同じ土俵に立って戦おうなどとは片腹痛いわ!」


とある空間で勇者と魔王が激しい戦いを繰り広げていた。


その戦いは多数の人々が観ていた。


勇者頑張れ

負けるな勇者!!

勝つのは魔王様だ

魔王様がんばえ〜!!


勇者と魔王の両方に多数の声援が上がっている。


「ふははははは、どうした勇者よ!

命乞いするなら助けてやらんでもないぞ!!」


「くぅ・・負けてたまるか!

・・・ここだ!」


防戦一方だった勇者だが魔王の隙を見つけて一転、攻勢に転じた。


「ええ!?うそ、そこから反撃してくるの?

ちょっと待って!

あ、ごめんなさい・・・さっきのは謝るから勘弁して」


劣勢になった途端に強気な態度が嘘のように弱気になる魔王。

それに対して観客たちは大変に盛り上がっていた。



やっぱ勇者の方が強いんだよな

魔王様の得意のイキりクソザコムーブきた!!

魔王様がんばえ〜


「やめて、本当に勘弁して!

何でもするか・・・」


「これでトドメだ!」


「ああああああ!!」


勇者のトドメの一撃が魔王に突き刺さる。


その一撃に耐えられなかった魔王はその場に倒れて突っ伏した。


「ははは〜今日の対戦も僕の勝ち!

何で負けたか明日までに考えといてください」


「うう〜ユウは酷いのじゃ」


「勝負だから仕方ないでしょ」


「ううう・・・あああああ!!」


「ああ、もうすぐ泣く!

ほら、今日は僕達の一周年記念なんだから泣いてちゃファンの人たちに悪いでしょ。

ね、泣き止んでよ。マオ」


負けた悔しさに泣きだしたマオを抱きしめて慰めるユウ。


そうするとすぐにマオの方も泣き止んだ。


「ううう・・・すまんかったのじゃ〜魔王軍配下のみんなにも申し訳なかったのじゃ」


マオが観客に語りかけると観客たちも


泣き止んで良かった!

マオちゃん可愛い!

ユウマオてぇてぇ!!

間に挟まりたい・・・

↑を許すな


などなど様々な答えが返ってきた。


「はい、というわけで僕達の一周年記念配信はここでお別れとなります」


「皆の者、今日も楽しかったぞ。

チャンネル登録、通知ボタン、高評価、妾に忠誠を誓うならば忘れずに押していくのじゃぞ」


「僕の仲間たち、次の冒険までゆっくり休むんだよ」


「妾の配下たちも次の実践演習まで身体を壊さないように気をつけるのじゃぞ」


『それじゃ、またね〜(のじゃ)』


別れの挨拶をして配信を終了する。


そう、彼女たちが戦っていたのは格闘ゲームであり、2人はこの世界に転移してきた勇者と魔王という設定で同時にデビューしたVtuberだった。


一年前にデビューした彼女たちは見た目の可愛らしさと声の良さ。


更に色んなVが当初の設定と異なる中身を出していく中で徹底的に設定を守っていた。


時にはコラボで別のVと配信してその辺りを突っ込まれたり揺さぶりをかけられても全くブレなかった。


そして、偶に彼女たちが話すかつての世界の話は妙にリアリティがあり視聴者達はそんな訳がないと思いつつも彼女達のことを本物の勇者と魔王として扱い人気が爆発した。


しかし、そんな彼女達には一つの秘密があった。


部屋の隅に飾られた輝く剣と鎧。


マオの頭にある二本の角とお尻から見える尻尾。


そう、彼女達は本物の『勇者』と『魔王』だったのだ。



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