ドリーム異世界・〜夢の中なら無双できると思っていた〜
まさか見てしまうというのですね?
28歳独身童貞、身長160㎝ 体重60㌔
そんな俺は、毎日辛い社畜生活から脳がオーバーヒートして倒れた。次に目が覚めると病室ではなく、どこかわからないガラスのような銀色の綺麗な四角いブロックの上にいた。周りを見渡すも同じブロックばかり囲まれていて、トンネルのような作りになっていた。
俺は痛い身体を起こし座った。状況を改めようとしたその時だった。トンネルの奥から赤いロングポニーテイルの髪の女性が雄叫びをあげながら走ってきたのだった。
「うわああああああ!!あんた!!そんなところにいるとミンチになるよー!!!」
(ミンチ?なんのことだ?)
そう思って、走ってくる女性の後ろを見ると誰もいなかった。何を言っているのかわからないが何かに追われているのはわかった。走ってくる女性に質問を問いかけた。
『ねぇー!何も後ろいないようだけどー!何から逃げてんのー!』
「バッッカ!!いいから逃げろ!!この節穴やろう〜!!」
(節穴?ん〜?)
よく女性の後ろを見ると、キラキラと何かが光っていた。
(んん!?)
もっとよく見ると、破片が舞っていたのだ。周りのブロック切り刻みながら見えない斬撃の光が乱舞して周りを削りながらこっちに向かってきていたのだ。
(げっ!!)
斬撃しているのは透明で見えない。見えない斬撃がこっちに向かってきている。それだけでわかった。このままだと間違いなくミンチになると…。
『うわあああああああああ!!』
俺はすぐに斬撃が来る反対方向に走り出した。高校時代、陸上部だったのがここでいかされるとは思わなかった。
「あー!待ってー!!おいていくなー!!!」
『無理に決まってるでしょー!!確実にあれは死ぬー!!!』
「あんたも泥棒でしょ!?仲間でしょー!?!?待ちなさいよ!!!」
『えぇー!?走れって言ったのはあんたでしょが!!』
必死に走り、会話しているとトンネルの出口が見えた。
『あ!出口だ!!これで助かる!!』
「ああ!!本当に待ってー!!!そのまま出たらまずいからー!!!」
『え?どういう………?』
出口を振り返って見ると、数人の兵士が灯籠を掲げながらぞろぞろ入ってきた。
(え!?もしかして!?ここに居てたら犯罪になるとかじゃ………!?ど、どうする!?出口は兵士で塞がれ、後ろからわけのわからない斬撃と女!!!)
「こっちに合流してー!!早く!!!私を信じて!!!」
『わわわかった!!』
少し立ち止まって、女性が追いついた瞬間手を引っ張れながら再度、兵士のいる出口に走り出した。
「そのまま出口まで走って!!!呪文を唱える!!!」
俺は女性を引っ張り、女性は息を切らしながら呪文を唱え始めた。するとみるみる身体が透けていった。
「これでよし!そのまま出口まで突っ切って!!」
『ええ!!目の前の兵士がいるぞ!?!?』
「いいの!!この透明化は人は触れられない!!ただし、この透明化は長くはもたない!!」
『えーい!ままよ!!』
俺は思いっきり突っ込んだ。本当に触れることなく兵士たちとすれ違った。あの追ってきていた斬撃は、兵士たちの目の前で止まっていた。
「ね!?うまくいったでしょ!!このまま出口を出たら運河に飛び込んで!!」
『ええ!?なんで川に飛び込むの!?見つからなかったからいいじゃ』
「あんたバカでしょ!?外にも兵士がウヨウヨいるに決まってるでしょが!!」
(あ、なるほど。確かに考えてみればこんな所に兵士がいるってだけで十分あり得る話だ)
『わかった!!』
勢い良くトンネルから飛び出し、川まで走って、その女性と飛び込んだ。その瞬間、目の前が暗くなった。
『はっ!』
朝の陽射しがカーテンからもれて顔にあたっている。雀の鳴き声も聞こえる。俺は目覚めた。
『なんだったんだ…夢だったのか…??』
部屋を見渡すもいつもの部屋、いつもの風景だった。ただ違うことがあったとすれば、俺は大人で初めておねしょしたことだった。
まさか最後まで読むなんて、なんて、良い方なんだ!!(笑)