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女勇者として召喚されたけど、やる気がないので魔王の娘に聖剣と○○をあげました。  作者: なよ
第一章、女勇者レイナと魔王の娘エクレアの日常
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女勇者レイナは皮のパンツを手に入れた!

 ジャニスさんの作ってくれたパンツは、ちょっと厚手の皮であつらえたものだったけど、採寸した甲斐もありフィット感は良かった。まあパンツというよりはアンスコか水着って感じではあるけど。


「ありがとうございますっ。これで四日目から解放されます」


 ともあれ替えのパンツが出来たことは大きい。


「いいのよ。お代はエレクトゥリアスから頂くから」


「うむ、何が良い。好きな物を申すが良い」


「それじゃあ遠慮なく言っちゃうけど、北の方に毛むくじゃらのモンスターがいると聞いたことがあるわ。そのモンスターの毛が欲しいわね。レイナちゃんのパンツと同じ物を作ろうと思ったら、素材を変えないとダメって思ったの。きっとそのモンスターの毛なら肌触りも薄さも同じような物が出来ると思うの」


「モンスターか……、よかろう。北のモンスターのことは詳しくはないが、探し出して狩ってきて見せようぞ」


「お願いね。そうすれば他の服も結構いいのが出来ると思うから。あと、服の代わりじゃないけど、レイナちゃんにこれをあげるわ」


 そう言って手渡されたのはフードの着いた濃紺のマントだった。腰の辺りまでの短いもので、しっかりとした生地で作られていた。


「エルフのマントか」


 エクレアがちょっと顔をしかめる。


「ありがとうございます」


 とりあえず受け取って、エクレアの態度は置いておいて、羽織ってみる。


 制服の上にマントというのは漫画やアニメっぽい格好の気がするけど、こちらの世界では違和感がなさそうだ。


「おおーっ、ちょっと格好いいかも」


 その場でくるりと回ると、マントがその動きに合わせてひらりと舞う。


「いいわぁ。フードも被ってみて」


「こうですか?」


「あぁ~いいわぁ。安心するわぁ」


 言われるままにフードを被ると、ジャニスさんは安堵の吐息を吐いた。


「?」


「エルフのマントは精霊の加護を受け、自然に溶け込む魔法が掛けてある。妾の付けたドラゴニック・ヴェーゼの効果を打ち消しておるのじゃ」


「ああ、なるほどね」


 それであの表情か。


「フードを被ると効果があるんですか?」


「そうよ。存在感が薄くなって、魔物や魔獣なんかに気がつかれにくくなるわ」


「へぇ」


 それはこの魔物はびこる世界では非常にありがたい装備だ。聖剣なんかよりもよっぽど身を守ることが出来そうだ。


「ありがとうございます。有り難く頂きます」


「ええ。ここへ来るときは忘れず付けてきてね」


「そうします」


 切実なジャニスさんのお願いに快く頷いたのだった。



    ****



「北の毛むくじゃらモンスターってどんなのだろうね。雪男なのかな。それともシロクマみたいなのかな」


「北の方は、めったに行かぬからのう。今度一度見に行ってみなければならぬのう」


 あれからエルフの里で食器などもお買い物をして、ひとまずは当初の目的を果たしたので、私たちはエルフの里を後にして、エクレアのお城への帰路へとついていた。


 ジャニスさんには、また新しいパンツと服を作って貰えるようにお願いをしておいたので、近いうちにまたエルフの里を訪れることになるだろう。その時には毛むくじゃらモンスターの毛も持っていきたいところだ。パンツといえば、もう一つの下着であるブラジャーも欲しいところだったけど、形を作るのは簡単だけど、凹凸をキレイに保ちつつ胸にフィットさせ、さらに肌触りがいい物は作るのが難しそうとのことで、作るとなると相当時間が掛かるとのことだった。こっちの世界ではブラジャーという概念がまだないらしく、人もエルフも布を巻いておくだけか、そもそもつけないのが普通らしかった。


 エルフ達の多くは、葉っぱや布を巻いているみたいだけど、エクレアは……。


 ふむ、とエクレアの胸を見てみる。エクレアは厚手の皮で作られたビキニのような鎧を身につけているけど、その下はどうしてるんだろう。


 気になったので、ちょっと胸の隙間に指を差し込み、空間を作って覗き込む。すると、案の定何も付けておらず、素肌の上に鎧を身につけているだけだった。一応裏に当て布を付けているのがちょっと可愛い。


「何じゃ、何をするのじゃ」


 空中で私を抱えて飛んでいるエクレアは、私の行為を止めることが出来ない。


 突然胸を覗き見られ、空中で悶え始めた。


「このようなところで求められても困るのじゃ」


「いや、求めてなんかないから」


 至極冷静に言い返す。


「エクレアはブラ付けてないなって思ったの」


「レイナが乳に付けているあれか? あんなもの無くても良かろう?」


「良くないわよ。こっちの人がどういう認識しているのか知らないけど、ブラジャーを付けないと胸の形をキレイに保てないのよ。将来垂れてきたら困るでしょう。エクレアだってそこそこある方だから気を付けた方がいいわよ。こんな固い皮の鎧だけじゃ胸が泣くわよ」


 パンパンと、エクレアの革の鎧を軽く叩く。


「良くわからぬのう。無駄に揺れ動かぬ程度の締め付けと収めどころがあれば十分じゃろう」


 エクレアは本気で意味がわからないといった感じで首を傾げる。


「文明の進んだ世界を作ろうと思ったら、そういうことにも意識を向けないとダメよ。ブラを作るのだってかなり技術がいるってわかったでしょ? その人に合ったサイズと形を作るのは難しいし、それにおしゃれの意味合いもあるのよ。あと、寄せて上げたり色々ね。ただの下着と侮ってはダメよ」


「ううむ、それもそうじゃな。今の妾たちに無い技術ならば、それが出来るようにしたいところじゃな」


 エクレアは素直に頷いた。


「うんうん、おしゃれは女の子にとって何よりも大事なことよ。エクレアもおしゃれしたらもっと可愛くなれるわよ」


「妾は自分が着飾ることは興味ないのじゃが。どちらかといえば、レイナが可愛くしているところを見ていたいのじゃ」


「もう、エクレアって、すぐそういう恥ずかしくなること言うわよね」


「何がじゃ? 妾は思ったことをそのまま言っているだけじゃ」


「はいはい、ありがとうございます。そんなこと言われると可愛くしていないとって思っちゃうじゃない」


 もうっ、こんなに可愛い可愛い言われたのなんて初めてだから調子狂っちゃうわ。


「ああ、そうじゃ。城へ戻る前にもう一カ所寄っていくところがあるのじゃ」


「いいわよ。買い物でもするの?」


「この辺りで店を開く酔狂なものなどおらぬ」


 確かに、地上を見れば山と森ばかりで、到底お店を開こうなんて人がいるとは思えなかった。人里離れた場所で営む、素材にこだわった石窯パン工房なんてものもありそうにない。そもそもこの辺りに人なんていないだろう。いるのは魔物か狩り真っ最中のエルフくらいじゃないだろうか。


「妾の盟友に会いにゆくのじゃ」


「友達?」


「友達というか、魔法の師のようなものじゃな。あやつは術の開発が趣味じゃから、レイナのスマホを充電するための術作りの役に立つはずじゃ」


「おおーっ、それは重要な相手ね。いいじゃない、ささっと行きましょう」


「あと、ついでに水浴びもするのじゃ」


「いいわね。本当はお風呂が一番だけど、体をキレイに出来るなら大歓迎だわ」


「うむ」


 返事と共に、エクレアが飛ぶスピードを上げた。


 魔力の保護壁があっても、一段と体に当たる風が強くなる。まださすがにこのスピードはちょっと怖いので、エクレアにぎゅっとしがみついた。


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