女勇者レイナは異世界で【衣・食・住】を確保した!
まあ別に下着を見られるくらいはそこまで気にはしない。お店でブラ買うときだって計って貰うことはあるし。ただ、やっぱりスカートをめくり上げるってのは抵抗あるなぁ。
「……あの」
早く計って欲しいのに、ジャニスさんはまったくその様子がない。どころか、なぜか私から離れてしまっている。
「ジャニスさん?」
「は、はいっ」
びくっと体を震わせて、ジャニスさんは怯えたような目を見せた。
あれ? これは……?
「あの、もしかして怖がってたりします?」
「そ、そんなことはないけれど」
そう言いつつも、視線は外にいるであろうサリアさんたちの方へ向けている気がする。
「私、よくわからないんですけど、勇者ってそんなに恐れられているんですか?」
「ゆ、勇者は人間たちの味方で、わ、私たちエルフへも攻撃してくることがあると聞いているわ。じ、実際に会ったことはないけど、貴女からも恐ろしい力を感じるわ」
「ええ? 私から? ないない。剣すら持てないんだから……あっ」
そういえば一つ思い当たる節があった。
「それって、これのせいなんじゃない? エクレアが付けたのよ」
シャツのボタンを一つ緩めて首筋を見せる。そこにはエクレアが魔力を刻んだ証がある。きっとそれを感じ取っているんじゃないだろうか。
「そ、それはっ」
ジャニスさんがカッと目を見開く。
「キスマークっ! 貴女たちそういう関係だったのねっ! それを私に見せつけてどうしようっていうのよっ」
「ブーッ!!」
勢いよく吹き出した。
そういえばキスマークだったんだっ。
「違うっ、違わないけど、違うのよっ。エクレアがこれを付けているとエクレアの庇護に居るのがわかるから、魔物に襲われたりしないって言ってて!」
「結局そういう関係であっているんじゃない。魔王の娘の庇護にいるって、寵愛されているってことでしょっ。いやらしいっ。毎晩毎晩、体を重ねてくんずほぐれつしているんでしょうっ!」
「ちがーう!」
「なんじゃ騒がしい。もう終わったのかの?」
騒ぎを聞きつけて、エクレア達が入ってきてしまう。そして、私の姿を見た途端――
「れ、レイナ。肌を見せて何をしておるのじゃ。まさか、こやつを誘惑しようと――」
「違うからっ。ちょっとややこしくなるから黙ってて」
あー、もうっ、何なのよ一体!
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必死になってその場を収めて、私とエクレアの関係をもう一度ちゃんと話して、キスマークもエクレアが私を護るために付けてくれたということをキッチリと説明して、ようやく各方面の誤解が解けた。
そして――
私はエクレア達が居る前でスカートをめくって、サイズを計って貰っていた。なんかもう面倒くさくなったし、二人きりになるとジャニスさんは怯えるしで、色々と諦めたのだ。
その間中、エクレアは予想通り恍惚とした表情で視姦してきて、サリアさんとティアにまで舐めるような視線で見られ続けてしまったのだった。
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「出来るだけ履き心地のいい物を作るけど、あまり期待しないでね」
そうジャニスさんは言って、パンツの制作に取りかかってくれた。皮を出来るだけ柔らかくなるように加工して、あとは型どおりに切って縫い合わせるだけなので、そこまで時間は掛からないとのことだった。
「お願いします。サイズさえあっていれば十分ですので」
パンツさえまともなものが手に入れば、この世界で【衣・食・住】を確保できたことになる。何時まで居ることになるのかはわからないけど、ひとまずは安心して生活出来るというものだ。