第6話
賢者の森って何だ。
それ賢者いるやつじゃん。
ガンゾは一級の料理人で、職人気質な男。部下として好ましいタイプだが、おそらく経営や、頭の回る事は苦手だろう。
ここでビジネスを成功させる上でこの世界を詳しく知っていて、頭の回る人間は絶対に必要だ。
「よし、賢者を部下にしよう」
「え?今、なんて言いました?まさか賢者を部下にしようって言いました?」
なぜか焦るガンゾ
「言った。何か問題があるのか?俺はこのへんの事について詳しくない。ビジネスを成功させるのには絶対に知識は必要なんだ。賢者と言うからには知識豊富なんだろう?」
「賢者はこのソーマ王国の王ですら、手が出せない魔法の使い手。確かに知識はあるでしょうが、機嫌を損ねれば、まずい事になるかもしれませんよ」
ま、魔法。やっぱあるのかぁ。一般地球人の俺に魔法なんてものを出されたら、柔術なんて全く意味なさないじゃん。けど、その割にあのテロリスト簡単に落とせたし、全員使えるわけでもないのか?
「なぁガンゾ、魔法って、だいたいみんな使えるものなのか?」
「いや、そんな事はないですね。ただ生活魔法でしたら、使える人はそこそこいますね。私も火の生活魔法が使えます。料理人なので、料理用に」
ガンゾの生活魔法は、可燃性の物体に火をつけることができると言うものらしい。
しかし、どうやって身につけるのだろう。
便利そうだ。欲しいな。
「それ、俺も使えるか?」
「それぞれに決まった呪文を一度暗唱することができれば、魔法が頭に定着し、基本使えるようになります。使える量は魔力量によるでしょうが。しかし、生活魔法一つでも100語の暗唱が必要です。途中で間違えたり噛んだりしてもダメですし、紙に書いて読むなんてのも暗唱ではないので当然ダメです。さらに言葉と言葉の間に5秒時間が空いても、成立しません。生活魔法程度なら努力すれば誰にでも習得できるとされていますが、それ以上になると、専門の魔法師が、一年かけて覚える、なんて事もあります」
「へぇー、なるほどな。魔力は大小はあれどみんなある感じなのか?」
「そうですね、基本は生まれてだいたい5歳で魔力が生まれて17歳まで量が増えて、完成すると言われています。まぁ個人差があって、話に出た、賢者なんかは105歳にして今もまだ成長しているらしいですよ、それに専門の魔法師になると、魔力量を上げる魔法もあるとか」
俺、なかったらどうしよう。地球の人だからなぁ。
とりあえず、やってみればわかることか。
「ガンゾ、お前の火魔法の呪文わかる?」
「ええ、というか、これは不思議なんですが一度暗唱してしまうと、うろ覚えで言い切ったとしても、文字に起こせるようになります」
そう言ってガンゾは地面に呪文を書きはじめた。