第4話
俺は服の胸の部分のボタンを外し、見えた胸の中心にさっきのテロリストの剣の刃の先をそっと当てた....
「信用できないか。ならまず俺が先にお前を信用することにしよう。俺は人を見極める力を持っている、そして俺は自分が見極めたものを絶対に信じる」
俺はその剣の柄を料理人に渡す
「この服はお前が知らないだけでかなり高価なものだ。俺を殺してこれを奪えば、おそらく奴隷を数人くらいは救えるんじゃないか。だが、お前が俺の部下になり、そして俺のために働く。そうすれば俺がサキア人全てを解放してやろう。俺にはそれだけの力がある」
言うだけは言った。おそらくこいつの性格なら..
「お前、正気か、あったばかりの見ず知らずの人間に命を預けるなんて。俺が刺したらお前は終わりだぞ?大きな組織の長なんじゃ無かったか?無責任なんじゃないか?そんな頭のおかしいやつに俺が付いていくと?」
よし、食い付いた。これなら、もう八割型釣れたも同然だ。
「言ったろう。俺は自分が見極めたものを信じる。そして、言ったことも絶対に曲げない。これは俺の信念だ。そして、俺の部下達はそんな俺の信念についきてくれているんだ。無責任に見えるか?俺はそうは思わない。どんな時にも信念に従うのが付いてきてくれる部下に対する俺の責任だ」
「なるほどな...お前の部下の気持ちが分かったよ。お前みたいな男に人は付いて行きたくなるんだろう」
「よし分かった。この私が部下になりましょう。だが、決してサキア人の事、忘れないでください。あなたが言う信念、忘れた時は、今度こそこの私が剣を突き立てます」
「あぁ。もちろんだ。必ず後悔はさせない。それと、名前をまだ聞いてなかったな」
「そういえば名乗っておりませんでした。サキア人元宮廷料理人、ガンゾ・ザルと申します。
景様、どうかこれからよろしくお願い致します」
最高だ。ガンゾ・ザル、めちゃくちゃ職人ぽいな。とにかくこれで日本まで手っ取り早く帰れそうだし、俺好みの一流の部下も手に入ったし、かなり得したな。誘拐犯にスーツの弁償は勘弁してやるか?
「それでは、景様。あなたを真に主人と認めましたし、私の真の姿をお見せしましょう」
え?真の姿?なにそれ
次の瞬間、ガンゾの体毛が一気に赤く、濃くなっていった。そして最終的に変化したガンゾの姿は、漫画とかで見た事がある、亜人の類だった。これはなんというか、サルか?ザルだけに?
しかし、かっこいいな。
....いや、うん?亜人?あれ?...おかしくない?