第34話
マクベス商会に着いて、俺はドアの前で立ち止まる。
昨日もきてるんだが、昨日は一日長かったからな、何というか、久しぶりな気がする。
それに……
ちょっと緊張するな。
500人だもんな。やっとまともに会社と言えるくらいになっただろうか。
こちらの世界に来てから、ガンゾと出会って、メゴールを仲間にして、俺が一から作ったんだもんな。時間にしてみれば短いが、こちらに来てからは濃い思い出ばかりだ。
代々受け継いできた佐々木グループとはやっぱり違う。
どっちも大切である事に変わりはないし、比べられるものでもないんだが。
俺は一度大きく深呼吸をして、ドアを開けた。
中に入ると、俺が声をかけるよりも早く受付が俺に気づき、奥に案内される。
奥に進むと、そこには地下への階段が。
「500人は今朝方、大部屋に移しておきました。こちらがその鍵になります。
それと逃走防止のため、全員に錠と鎖をつけています。そちらもこの鍵で外せます。最後にお帰りの際はこちらからではなく、裏口にマクベス商会の馬車を10台用意しておきましたのでそちらをお使いください。」
馬車を用意してくれていたとは。ずいぶんサービスいいな。さすがは国に3つしかない黒級商会といったところか。
鍵を受け取り、交換に手付け金を手渡す。
「確かに。大部屋はこのまま地下に降りていただいて、左に曲がった突き当たりにございます」
大部屋の前に着き、鉄格子越しに様子を見ると、近くにいた何人かが俺に気づき、すぐ怯えたように目を逸らす。
なんだ?何故そんなに怯えるんだ?
しかもこの部屋、以上に静かだ。500人もいるというのに誰一人として喋っていない。全員の顔の雰囲気からも暗い雰囲気に満ち溢れている。
ドアを開けて中に入ると、ドアの開く音が部屋全体に響き渡り、全員の視線が俺に向けられる。
あまりの空気の重さに俺がどう声をかけるか戸惑っていると、男たちがいきなり立ち上がり、俺の前にやってきて、土下座をして言った。
「俺たちは好きなようにしていただいて構いません。この首、今すぐにでもお切りいただいても構いません。ですからどうか女子供の命だけは勘弁してくださいませんか」
何をどう勘違いしたのかは知らないが、まるで俺が極悪人かのようだな。
だが、まぁこれでなぜ怯えてたのかはよくわかった。
事情を説明してガンゾと会わせれば昨日と同じようにいくだろう。
が、、、これはもしかするとこいつらにはもう少し薬が必要かもしれない
良心は痛むが、仕方ないか。
「何を勘違いしているんだ?私がお前達を買ったんだ。お前達を自由にするのは当たり前だろう。全く卑しいサキア人の分際で勝手なことを。しかし、そうだな。私も鬼ではない。お前達が自分でその命立つというのなら、その約束果たそうじゃないか」
俺はそう言って、前にいた10人の代表格と思われる男の拘束を完全に解き、空間魔法から剣を取り出して渡す。
男達はそれを受け取ると、目を瞑って、自分達を刺した。




