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100円から始める異世界グループ経営  作者: ゆーぽん
第1章
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第2話



はぁ。スーツが土埃まみれだ。これ高かったのに...

気に入った事業への投資や人材への投資に関する金に糸目はつけないが、私生活や無駄な出費に関してはとことん切り詰めていくのが俺の主義だ。

だが、その質素倹約の私生活の中でも、外見に関しては違う。外見は人の印象を大きく左右する要因で、ビジネスの上でも重要なものなので、外見には自分の私生活でも信じられないくらいの金額を出している。

無事帰りついて、誘拐犯が見つかったら請求してやる。


昨日とった果物の残りで朝食を済ませて、スーツの埃を払う。

今日こそは森を抜けたいな。

水があるとはいえ、安全な食料が毎日見つかるとも限らないし、この森に動物がいる可能性もある。夜を何日も越したら生きていられるか。それに森を抜けたら人がいるかも確かではない。

とりあえず早めの行動だ。


ひたすら下流に向かって歩くこと数時間、前方に人影を見つけた。声をかけようと近づこうとしたが、即座にそばの木に身を隠した。遠くから見ると普通の男の二人組だった。問題なのは片方が首輪と鎖で繋がれていて、もう一方が武器らしきものを持っていたことだ。


あれはまずい。何処かの国のテロ組織か何かかもしれない。下手をすると俺が奴隷して捕まる可能性もある。しかも、俺は男だし、自慢じゃないが肉体労働は得意じゃない。武術は自衛のために、学んで、そこそこできるようになったんだが、いかんせん筋肉がない。肉体労働で使えないとなると、若いのだ、臓器売買などに使われる可能性もある。

恐ろしすぎる。同時にほぼ確実に海外だな。中東か、アフリカ、とにかく治安は良くなさそうだ。

人を見つけても声をかけるには慎重になる必要があるな。

まぁ、しかし、この状況においてあれだが、幸運だな。人を見極めるのは得意分野だ。


にしても、あの奴隷の男、かなりガタイがいいな。筋肉も素晴らしい。軍人かなにかか?

だが、あの手。水荒れか?この感じは料理人か。なかなか腕が良さそうだな。

お、ちょうど料理を始めた。ビンゴだな。

にしても、奴隷に作らせて殺されるとか思わんのか。まぁ材料を全て用意すれば難しいだろうが。

そういえばお昼時か。しかし、最近多忙にかまけてエネルギーを簡単に摂取するだけの物だったからか、朝も食べたしあまりお腹も減ってないな。


うん!?なんだこの匂いは。あの奴隷か。

これはなかなかどころじゃない。一級の料理人だ。久しぶりにお腹が減ってきた。

覚悟を決めるか。このまま隠れて逃げるつもりだったが一級の人材を放っておくことはできない。おそらくあのテロリストに仲間はいない上に、よく見ればやつの武器は剣だ。

いつの時代のものだよそれ。

食事とは人間が一番油断をする時。絶好のチャンスだ。俺の存在にも気づいていない。後ろから拘束して、落とす。簡単だ。


俺は自分がいた木の陰から、テロリストの背後の木に回り込む、案の定、剣を手放して食事をしている。

佐々木グループ総裁にもなると、危ないことも多くなる。そこで自衛のために柔術を身につけさせられた。力のない自分は相手の力を利用する技を極めたが、絞め技がカッコよくて、それだけはひたすら練習したのだ。結局SPが優秀で、実戦で使う事はいままでなかったが。

そう。俺の血の滲むような努力は、ここで使うときのためだったのだ。







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