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100円から始める異世界グループ経営  作者: ゆーぽん
第1章
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第16話

大通りから離れ、予定通り俺たちは元手を得る為に冒険者ギルドにきた。

冒険者ギルドは冒険者自体が武器を持っていたりガラが少し悪いことから、街の中心からは少し離れたところに位置していた。


中に入り、冒険者登録をしようと受付に向かったのだがどうも周りが騒がしい。元々そういう気質の人間が多いのだろうが、完全にこちらを見て騒いでいる感じだ。


それでも特に何か話しかけられるわけでもなかったので、不思議に思いながらもそのまま受付に行った。

が、受付嬢の一言がその疑問を一気に解決してくれた。

「黒級冒険者モリ・メゴール様、ようこそお戻りくださいました。我々ギルド一同この日をお待ちしておりました」

黒級。商業ギルドと同じならば最高ランク。なるほど、それでこんなにも目立っていたのか。森にこもっていた最高ランクの冒険者が急に現れたら、そりゃざわつくな。

ふむ。しかし、この知名度。使えるな。まぁ元々賢者だから知名度はあるだろうが、賢者の名前は知っていても、メゴールを知らないということは十分にありえるし、これは早速チャンスだな。


「本日は、我が主人の冒険者ギルド登録に参った次第。申し訳ありませんが、今日のところは依頼はお受けしかねます。しかし、私達はこれから王都で商売を始めますゆえ、元手のために依頼を受けることにはなるでしょう。という事で、ひとまずは我が主人、景様に冒険者ギルドの事を説明していただけますかな?」


メゴールがそう言うと、周りのざわつきはいっそう騒がしくなった。さらに、受付嬢はかなりの衝撃を受けているようだ。


「メ、メゴール様の主人、ですか?国の宰相の座すら蹴っておられたので、人の下につく気がないのかと。いえ、脱線してしまいましたね、申し訳ありません。では、ご説明させていただきます。

まずは、だいたいのシステムから。冒険者ギルドはここ王都を本拠、そして他10都市に存在します。依頼は基本はガリア大森林に生息するモンスターの討伐、または王都付近に侵入してきたモンスターの討伐がメインとなります。その他には護衛、突破的に各地に出現するダンジョンの攻略があります。依頼は依頼の難易度に応じてランク分けされ、自身のランク以下のものしか受けることができません。依頼を達成すると、ポイントが入りランクが上がっていきます。ランクは商業ギルドと同じく、青銅〜黒になっております。

次は施設のご紹介を。当冒険者ギルドは五階建てになっています。しかし、2階以上普通の冒険者には用の無い場所です。過去の依頼の管理室、応接室、会議室などがございます。そしてメインとなる一階は、まずは受付。ここで依頼の受注、達成確認を行います。次に換金所。モンスターから取れる素材や、ダンジョンなどで手に入れた希少価値の素材や道具を鑑定、換金する事ができます。最後に道具屋。ここでは、回復薬や、保存のきく食料、毒消し、臭い消しなど、様々な冒険に役立つ道具を販売しています。ここ以外でももちろん王都にいろんなお店はありますが、1つの店にこれら全てが揃っていることはなかなかありません。冒険前はここで道具を買っておくことをオススメします」


なるほど。依頼の報酬プラス換金所でも稼げる可能性があるのか。なかなか割りがいいな。その分危険はあるんだろうが。というか、希少価値のあるものか。珍しいものなら俺の唯一の財産、日本の100円硬貨とかどうだろう。まぁ、ゴミが関の山だろうけど、もしかしたらちょっとは金になるかもしれんしな。後でちょっといってみよう。


それにしてもこの受付嬢。見た目はそれほど光るものはないが、簡潔な説明や机にある綺麗に整理整頓された書類から優秀さが伺える。メゴールとも知り合いのような口ぶりで話しているし、そこそこの古株なのだろう。


今日はもう夕方になってしまったので、明日すぐに依頼を受けれるように道具屋によってガンゾの武器を買う事になった。

それの元手も馬車代と、今日の宿代を抜いた分なのでかなり少ないが。まぁ、メゴールが最高ランクならば、そこまで難しい依頼でなければガンゾが出張る必要もないので問題はないだろう。


ガンゾが武器を選んでいる間に俺は唯一の財産、100円硬貨を換金所に持っていった。俺の全財産が銅貨一枚にもならなかったら、なんか上司としてすごい恥ずかしいので、一人でこっそり来た。しかし、その結果は俺の予想とは大きく異なるものとなった。


店員に見せてから、換金までの時間は1分。そのほんのひと時とも思える間に100円は白金貨2枚に変わった。現在で考えると2億円に100円は変わったのだ。


神の迷い人。神が世界を変えるために連れてきた人間。もし俺が百円を持っていたのが偶然でないとするならばきっと俺はそうなんだろうと初めて本当にそう思った瞬間だった。


換金所の店員曰く、とても珍しく精巧な技術で作られているコインで、とても現代の技術で作れるとは思えない、まさに幻の一品。だそうだ。

その割にめちゃくちゃ早く換金するし、この白金貨が幻とかいうオチを真剣に心眼で探ったが、本当の本当に白金貨だった。

後からメゴールに聞いた話だと、換金所の人間は鑑定魔法を使う為、換金の時間がかかることは滅多にないらしい。


しかし、兎にも角にもこれで十分すぎる元手が手に入った。

待っていろゲーデル。神は俺に味方しているぞ。すぐそこまで登りつめて、必ず王女とサキア人を救ってやる。


それにしてもせっかく冒険者ギルドにきたのに、必要なくなったな。だがメゴールの帰りをあれだけ待たれていて、元手を稼ぐ為に依頼を受けに来ると約束した手前、やはり必要ありませんとは言いづらい。

さてどうしたものか。


...ふむ。少し早いがあの手を使うか。

ガンゾならやれるだろう。

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